認知症に備えシンポ 横浜で専門医解説

 高齢化の進展に伴って増加する認知症について考えるシンポジウム「今からできる認知症への備え」(県主催)が2日、横浜市西区で開かれた。生活習慣の改善など専門医らが紹介する効果的なリスク軽減策に約240人が耳を傾けた。

 国の推計によると、2025年には全国で高齢者の5人に1人に当たる約700万人が認知症を発症するとされる。黒岩祐治知事は「認知症は早期の進行段階で止められる。超高齢社会を乗り越える明るい人生100歳時代を目指してほしい」とあいさつし、病気にならないことの大切さを強調した。

 講演で横浜相原病院の吉田勝明院長は「ヒントを与えても思い出せないのが認知症」と指摘。アルツハイマー型と脳血管性認知症の進行具合や幻覚、徘徊(はいかい)といった症状を解説し、予防には歩行や趣味など活動的な生活が効果的とした。

 住み慣れた地域とのつながりや生きがいの確保などが幸せな老後につながるとし、「認知症の症状はその人の生きざまの表れ。家族だけでなく地域ぐるみでケアしていくとの意識を広げてほしい」と呼び掛けた。

 このほか、横浜市立大学術院医学群保健管理センター長の小田原俊成教授が医学的視点で予防策を紹介、パネル討議も実施して認知症への理解を深めた。

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