ホンダF1長谷川総責任者「マクラーレンとの3年間を誇りに思う」2017年のパワーユニット大変更に後悔なし

 ホンダF1プロジェクト総責任者である長谷川祐介氏が、3年間にわたるマクラーレンとのパートナーシップを振り返り、思うような結果は出せなかったが、自分たちの仕事については誇りに思うと語った。

 2015年にホンダはマクラーレンのパワーユニットパートナーとしてF1に復帰、1988年から1992年に成功を収めたペアは手を携えてF1のトップの位置を目指した。しかし期待したような結果を出せないまま、両者は2017年をもって契約を終了することを決めた。

 長谷川総責任者は、この3年間を振り返り、競争力は他のマニュファクチャラーに届かなかったものの、あきらめることなく開発に取り組み、成し遂げてきたことを誇りに思うと語った。

「確かに厳しい3年でした」と長谷川氏はホンダF1公式サイトのインタビューにおいて語った。
「ホンダは他のマニュファクチャラーに比べて、開発を始めるのがかなり遅かったので、大きなディスアドバンテージを抱えてのスタートとなりました。開発面から見れば、我々は非常にいい仕事をしたと言えますが、競争力という点で見れば、我々が遅れをとっていることは明らかでした」

「それでも、我々が成し遂げたことを誇りに思います。我々は前進し続け、決してあきらめずに、開発を続けてきました。この3年間、常にできる限りのスピードで走り続けてきました。しかし、F1はレースでありスポーツです。傍から見れば、我々が結果を残せなかったことは事実ですし、そのことは非常に残念です。その事実は受け入れなくてはいけません」

 2017年に向けてパワーユニットのコンセプトを一新したことで、プレシーズンテストからシーズン前半にかけて、トラブルが多発した。3年目にして下位に低迷せざるを得なかったことで、マクラーレンはついに契約終了を決断したが、ホンダとしてはパワーユニットの大幅変更は必要なことだったと長谷川氏は言う。

「これは我々にとって必要なチャレンジでした。昨シーズン(2016年)は、いくつかのレースでまずまずのパフォーマンスを発揮しましたが、表彰台を争える競争力がないことは明らかでした。だからエンジンのコンセプトを変える必要があったのです」と長谷川氏。

「正しい方向に向かっていることは確信していましたが、2017年シーズンが始まる前にパッケージを完成させることができなかったのです」

「それはつまり、残された多くの課題をシーズン中に解決しなければならないことを意味しました。もしも我々がパッケージに修正を加えなければ、長期的に見て、さらなる進化を果たす可能性がないことは明らかでした。この判断について、私は後悔していません」

「もちろんシーズン中、マクラーレンからはさまざまな要望が出されました。これも非常によかったと思います。チームとさまざまな開発を繰り返していく中で、技術的にも人間としても、我々は大きく成長できたからです。そこにも疑いの余地はありません」

 3年間、たゆまぬ努力を重ねてきたマクラーレンのメンバーには心から感謝していると長谷川氏は言う。

「厳しい状況ではありましたが、マクラーレンには本当に感謝しています。特にサーキットのメンバーたちは、マシンとPUから最大限のパフォーマンスを引き出そうと努力し続けてくれました。彼らもまた、絶対にあきらめませんでした。エンジンに問題があったときも、メカニックたちは問題を解決し、マシンをサーキットに戻そうと懸命に作業を続けました。彼らはプロフェッショナルで、常にすばらしい姿勢で仕事に臨んでいました」

 苦しんだ2017年、マクラーレン・ホンダは第8戦アゼルバイジャンでシーズン初ポイントを獲得。終盤3戦には連続入賞を果たし、合計30ポイントを挙げた。

 ホンダは2018年からトロロッソと提携し、新たなスタートを切る。

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