音響性に優れる天井下地、三洋工業が開発 音楽ホールなどに販売

 三洋工業(本社・東京都江東区、社長・菊地政義氏)は1日、音響性能に対応する準構造化天井用下地『SZG(特許出願中)』を新たに開発、きょう4日から全国で発売すると発表した。主に音楽ホールや講堂、映画館や商業・学校施設向けなどに拡販する。 

 SZGは従来の吊り天井とは異なり、躯体となる構造体に施工する準構造物天井下地で、地震時にも構造体と一体に挙動できる剛性の高い天井システム。また専用の支持部材により、天井懐は約300ミリまでの調整が可能だ。音響の設計上、複雑な形状となる音楽ホールでも、階段状やR型など自由度のある形状の天井仕上げが可能となる。

 音楽ホールなどの音響性能が問われる天井は重量が要求されるため、従来型のブレース補強による吊り天井では補強の施工が限られていた。SZGは下地から天井面そのものまでを「構造」として設計施工できる上、天井のレベル調整も可能となることから、音楽ホールなどの複雑な形状の天井の耐震補強が大きく切り開かれることとなりそうだ。

 強度面の実証実験では、同社の技術研究所で静的な加力試験による剛性・耐力試験と、京都大学、防災研究所で3軸加振実験を実施しており、耐震性能は確認済み。

 標準設計価格は、材工費込みで平方メートル当たり1万9千円(消費税含まず)。初年度は1万6千平方メートルの販売を見込んでいる。

 同社の耐震天井製品は、ブレース強化対応の「SZ耐震天井」、軽量化対応の「フェノバSZ」と「イアルSZシーリング」、直貼り対応の「SZセイバー」、ネットを使用した「セーフネットSZ」とラインアップをそろえているが、準構造化天井に対応した耐震天井システムは初めて。

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