長十郎梨の畑が“復活” 発祥エリアの川崎・川中島小

 川崎市川崎区の市立川中島小学校に4日、地元の川崎大師が発祥の長十郎梨の梨畑が完成した。9年前に植えられた苗木が2本成長し、今年初めて実がなったことと、植樹した子どもたちが来月成人式を迎えるのを機に整備。同校は「地元の歴史を伝えるため、授業で使っていきたい」と話している。

 地元で環境教育活動を行っている市民団体「多摩川クラブ」(中本賢代表、8人)が長十郎梨を生まれ故郷に復活させようと、2008年3月に同校児童らと2本を植樹した。メンバーは多摩区の梨農家の太田隆行さん(52)と協力し、今年11月には3日間かけ、高さ3メートルに育った木の移植、剪定(せんてい)、土の入れ替え、棚作りを行った。

 この日は同校の5年生約90人が枝を棚に誘引する作業を行い、梨畑を完成させた。生産木を前に、同クラブの阿部英夫さん(57)は「大切に育てれば30〜40年実がなる。将来、みんなの子どもたちも収穫体験ができるので、その時は、長十郎の歴史をみんなが子どもたちに話してほしい」と呼び掛けた。

 参加した児童らは「こんなすごい梨畑になりうれしい」「9月に長十郎梨を食べたけど、甘くておいしかった。来年が楽しみ」と笑顔で話した。

 長十郎梨は1893年に当時の大師河原村の梨畑で当麻辰次郎が発見し、大正期の収穫量は全国の6割を占めた。

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