人権尊重きめ細やかに 鎌倉で集会

 「世界人権デー」(12月10日)を前に5日、「かながわ国際人権集会」が鎌倉市大船の鎌倉芸術館で開かれた。元文部科学省官僚で京都造形芸術大教授の寺脇研さんが、教育現場での経験を基に人権が尊重される社会の在り方や考え方を語った 一般社団法人神奈川人権センターが、人権週間(12月4〜10日)に連帯した取り組みとして毎年開催し28回目。約1100人が来場した。

 寺脇さんは31歳で福岡県教育委員会へ出向し、部落差別や子どもの貧困の現場に直面。「根っこは何か。人権問題は、背景を見て一つ一つきめ細かい対応が必要になる」と強調した。

 広島県教委に出向した際には、自殺をほのめかす匿名のファクスを受け取り、県内の全児童生徒の安否確認を徹夜で実施。地元テレビに出演して呼び掛けるなど、広く県民を巻き込みながら子どもの命を守るために行動した経験を語り、「人権のなかでも生存権が最大の権利だと共有したい」と呼び掛けた。

 学校法人「森友学園」「加計学園」問題についても触れ、「公務員は総理大臣の部下ではなく国民の奉仕者。司法・行政・立法のなかで議論し、利害調整することで初めて国民の人権が守られる」と一連の経緯に批判的な見方を示した。

 講演のほか、俳優の金田賢一さんと音楽家の丸尾めぐみさんのユニット「朗読三昧」が憲法前文や童話の一説などを朗読し、歌曲を披露した。

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