【60歳以降の就労問題】基幹労連、統一要求で方針提起 「65歳現役社会」到来踏まえる、高炉労組も要求書に関連項目

 基幹労連は18年春闘の統一要求方針の中で、60歳以降の就労問題での要求方針を提起する。2021年度の60歳到達者から年金支給開始年齢が65歳となることを踏まえ、「65歳現役社会」の実現に向けた労働環境整備の必要性を明確にする。この産別方針を受けて、高炉大手の組合などは春闘要求書の中に、関連項目を盛り込む方針だ。

 鉄鋼各社は現在、60歳定年制を敷く中で、60歳以降の従業員を対象とする再雇用制度を設けている。ただ、現行制度は高年齢雇用継続給付金などを前提とした制度設計となっており、シニア従業員の活力を引き出すには不十分との指摘もある。基幹労連は、現行制度に頼らない65歳まで働ける一貫した雇用形態が必要になるとみており、65歳定年制を視野にした制度設計の必要性を打ち出す。

 ただ、定年延長を含む新たな制度の導入には賃金や退職金をどうするかなど課題が多いのも事実。このため18年春闘は「検討開始の年」と位置づけ、まずは労使間での課題共有を優先したい考え。一方で、新制度の導入を待たずに、現行制度の見直しなどで対応できる場合もあるとみており、取り組み方針については業種別部会の判断に委ねる。

 高炉大手の組合は60歳以降の就労問題を要求書に盛り込む方向。ただ18年春闘については「課題解決に向けた制度改善を求める」など、制度設計に関する具体的な要求は盛り込まない見通しだ。

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