長崎・諫干控訴審 2月結審か 請求異議訴訟 和解協議の判断焦点に 福岡高裁

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門調査を巡り、開門を命じた2010年の確定判決の不履行に対する制裁金支払いを強制しないよう国が求めた請求異議訴訟控訴審について、福岡高裁(西井和徒裁判長)は5日、次回来年2月26日に結審する見通しを示した。国と開門派弁護団は、同高裁で和解協議が再開された場合は参加する方針を示しており、同高裁の次回の判断が焦点となる。

 一方、開門差し止めを命じた4月の長崎地裁判決を不服として開門派が同高裁に申し立てていた独立当事者参加について、弁護団は5日、参加の適法性を主張する意見書を同高裁に提出。同高裁は国と開門反対派に対し、再反論があれば来年1月26日までに提出するよう要請した。弁護団は同参加の是非に関しても次回、判断が下される可能性があるとみている。

 控訴審の和解協議参加方針は5日、同高裁で開かれた弁論準備の後、国と開門派弁護団がそれぞれ明らかにした。国は「開門せずに漁業振興基金による和解」を希望。開門派は「段階的な開門調査と農業振興基金の創設を含む和解協議」を求めている。双方の見解の隔たりは大きく、同高裁が和解を勧告するか結審後に判決を出すかは現時点で不透明だ。

 国は同日までに提出した準備書面で、開門判決を持つ原告の多くが▽15年度の漁業従事日数が0日で漁協組合員の資格を喪失している▽漁業従事日数を証明する客観的資料が存在しない-などの理由で開門請求権が認められないと主張。開門派は次回までに反論する書面を提出する方針。

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