相手に伝わりやすく、わかりやすく話すのにはどうしたらいいか。基本から応用技まで、すぐに使えるコツをご紹介します。
「話す順番」は逆と覚えよう!結論→経緯
私たちは意識しないと、物事を時系列で話しがちです。話が伝わるのに時間もかかり、わかりにくい話になってしまいます
NG例)
「実は送ったはずのメールが下書きフォルダに入ったままになってしまっていて。見つけてすぐ、再度送信したのですが金曜の夕方だったので、確認してもらえたのが月曜になってしまいまして。その影響でA社への納品が間に合わなくなってしまいました。すぐに先方に電話で謝罪をしまして……」
簡潔でわかりやすく伝えるためには、結論から先に話すのが鉄則。時系列で話したくなるのを我慢して、話す順番をいつもと逆にしてみましょう。
OK例)
「発注ミスで、A社への納品が間に合わなくなりました。先方の担当者に相談をして、金曜日までに直接、福岡支店のほうに送付するということで了承していただけました。納品が遅れた経緯ですが……」
例外として相手が感情的に傷つくような内容を伝えなければならないときには、詳細→結論の順番に話しましょう。話を聞く側が心の準備をすることができます。
結論を後にする例)
「業界全体が厳しくなっている中、会社としても努力をしてきたのだけど、ご存知のように今期も昨年を下回る売上で……。○○さんには会社のために貢献してもらっていて、周りからの評価も高いのだけれど、今日の会議で来年の契約はできないことにが決まってしまったんだ。力が及ばず申し訳ない」
全体像を見せる! アウトラインから詳細に
作業の指示などの場合、いきなり詳細から説明をはじめるとわかりにくくなります。まずはざっくりとした全体像を伝えてから、詳細を伝えるようにしましょう。
NG例)
「出社したら、まず玄関脇の掃除用具置き場に行って、道具を持って会議室に行ってください。会議室のテーブルの雑巾がけをして、ホワイトボードも水拭きしてください。その後、応接室に行ってもらいます。応接室では、台所の下にあるゴム手袋を使ってもらって、漂白してある茶碗と布巾を……」
OK例)
「出社したらまず会議室、応接室の順番で雑巾がけと、漬け置きしてある茶碗の片付けをお願いします。掃除用具は……」
数字を使う! 抽象的なものは具体的に
「もう少し」「たくさん」「なる早で」といった抽象的な言い方はだと、こちらが思っているとおりに理解されないことがあります。もう少しとは具体的にどのくらいのことなのか、誤解のないように伝えるようにしましょう。数字を使うのもお勧めです。
数字を使って具体的伝える例)
「もう少し早く仕上げて」
→「あと15分早く仕上げて」
「たくさん使って拭いて」
→「3枚以上使って拭いて」
「なる早で持ってきて」
→「午後のなるべく早い時間、できれば2時くらいまでに持ってきて」
情報量を増やし過ぎない! ポイントは3つに絞る
一度にたくさんのことを伝えると、話しがわかりにくくなります。ポイントは3つまでに絞るのが王道。これ以上増える場合は、文書にするなどの対策をしましょう。
話の割合は相手によって変える
例えばイベントの提案をする場合
・「どんなことをするのか(What)」
・「どうやって行うのか(How)」
・「なぜ行うのか(Why)」
といった内容を相手に伝えることになると思います。
こういった場合、内容に興味のある人にはその部分を多めに、実現可能かどうか心配な人には具体的な方法を多めにといったように、相手が知りたいことを中心に話しましょう。用意した内容をそのまま話すと、ついつい自分が話したいことが中心になってしまいます。相手の反応を見ながら構成を変えるのも大切です。
相手の理解レベルに合わせて説明する
例えば、新しいにアプリの説明をするとき。相手が「子供の頃からインターネットに親しんでいる高校生」の場合と、「パソコンをはじめて使う高齢者」の場合では説明の仕方が違うはずです。相手がどのくらいの理解レベルなのか。経験や背景を踏まえながら伝えるようにしましょう。
「例え」を使いこなす
聞き手が「難しい話だ」と感じてしまうような場合には、身近なものに例えてから説明すると伝わりやすくなります。
NG例)
「パンドラの箱というのは、プロメテウスという神が人間に火を与えたことに怒ったゼウスが、人間に禍を起こすために送った女性の名前が由来でね。彼女はアテナから仕事の能力、アフロディテから男を苦悩させる魅力、ヘルメスから狡猾な心を与えられて……」
例えを使った例)
「パンドラの箱って、言ってみれば浦島太郎が竜宮城でもらった箱みたいもので、開けちゃうと大変なことになるものを指すんだけど。そもそもはギリシャ神話で神様が偉い神様に仕返しされる話で……」
質問には短く的確に答える
相手の質問にはシンプルに的確に答えましょう。説明を付け加えたいときも、短く回答してからにすることで、回答がわかりやすくなります。
OK例)
「事情はわかりましたが、結局、補償はしてもらえないということですか?」
「大変申し訳ないのですが、補償は致しかねます。今回の件では……」
NG例)
「事情はわかりましたが、結局、補償はしてもらえないということですか?」
「純正でないものを使った場合にはどうしても問題が起こる可能性がありまして。精密機器ですし、使用上の注意をよく読んでいただいて……」
「質問がない=理解した」と思わず確認する
職場で指導をするシーンなどでは、説明をひととおり終えた後に「質問ある?」と聞いて、「ありません」という答えが返ってくるということがよくあります。
質問がない=内容が伝わったと思い込むのは要注意。中には、理解できているのかわからない人もいれば、理解があやふやな部分に気づけない人もいるかも知れません。指導のシーンでは、理解を確認する質問をこちらからするとよいでしょう。
話す前に準備をすることが大切
今回紹介したポイントは誰にでも取り入れられるものですが、咄嗟にするのは難しいかもしれません。事前に構成を考えるというひと手間を惜しまないのが、伝わる話し方の第一歩。準備を習慣にして、わかりやすい話し方ができる人になりましょう。