救急出動1.36倍に 2030年、横浜市消防と市大予測

 横浜市消防局と横浜市立大学は6日、2030年の市内救急出動件数が15年の1・36倍に達するとした救急需要予測の共同研究結果を発表した。市では19年をピークに人口減となる一方、高齢者の搬送割合が急増するのが要因。特に人口が多く高齢化率が高い戸塚区などの伸びが顕著だった。今後も救急車到着時間への影響の共同研究を続けるなどして、救急業務や119番受信業務の運用改善につなげる。

 研究メンバーは市大医学部臨床統計学教室(山中竹春教授)が中心。02年から16年の計15年間の約250万人に上る救急搬送記録のほか、将来人口推計、流入人口、訪日外国人客(インバウンド)、気象などを基に算出した。

 研究結果によると、30年の年間救急出動件数は約24万3千件で、15年の約17万8千件から増加。65歳以上の占める割合が53%から70%に上昇する。交通事故は減少するが急病と一般負傷が増加するという。時間別で見ると、早朝から午前10時台をピークに上昇する現状と傾向は変わらず、ほぼ全ての時間帯で増加。区別では戸塚、港北、鶴見が上位を占め、昨年までトップの中を抜くという。

 30年の救急出動件数は1日平均に換算すると667件。消防局は現在73隊編成で国の指針となる77隊を目指しているが、「研究結果のペースで推移すれば、地域によって出動可能な救急車が不在となる恐れがある」と警戒する。

 林文子市長は「今と同じ体制では十分な対応は困難。救急体制の検討を加速化していく」と話した。

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