二宮町役場建て替えへ 耐震補強を断念

 老朽化した町役場の再整備の在り方を検討している神奈川県二宮町が現庁舎を耐震補強しての継続使用を断念し、移転・建て替えの方針を固めていることが6日、分かった。同日の町議会第4回定例会で、善波宣雄氏(無所属)の一般質問に答えた。移転先の候補地としては、町生涯学習センター周辺(同町二宮)と東京大学二宮果樹園跡地(同町中里)の町有地2カ所を挙げた。

 町によると、1978年から使用する現庁舎は老朽化が目立っているだけでなく、耐震性能に関しても脆弱(ぜいじゃく)性を指摘されている。本年度予算には庁舎維持管理経費として約470万円を計上。町役場の整備手法や事業費算出などの調査を、民間会社に委託していた。

 この日の答弁で、町幹部は11月に終わった調査の最終報告がまだ届いていないとしながらも、「現庁舎はコンクリート劣化による強度不足で、耐震(補強)工事をすること自体の有効性に疑問がある」と確認されたと明かした。続けて「耐震補強して延命化することが極めて困難である」との見方も示した。

 移転先の候補地については、町生涯学習センター周辺、東大二宮果樹園跡地の町有地に、現庁舎跡地を加えた3カ所を想定しているとした。ただ、町幹部は「現庁舎(跡地)での建て替えでは仮庁舎も必要。検討の中には入るが難しい」と答弁、コストなどの面から現庁舎跡地に新庁舎を建てる考えには消極的な姿勢を示した。

 町は2014年に町内の町有地に移転・建て替えすると18億円、現在地に建て替える場合はそれ以上の費用がかかると試算していた。町は今年度中に新庁舎の建設場所を決め、来年度予算に関連費を計上したいとしている。

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