清宮も早々に出場? 「選手ムダにしない」日ハム、過去10年ドラフト査定

今年1位指名でハム入団の清宮も早期に出番が回ってくるか【写真:石川加奈子】

育成枠で指名を行わない日ハム、選手には与えられる多くのチャンス

 日本ハムは育成枠での指名を行わない。そのために指名する選手の数は、12球団で最小だ。しかし、獲得する選手が少ないだけに、選手には多くのチャンスが与えられる。

 2008年から2016年までにドラフトで指名されて65人が入団したが、「1軍出場なし」は7人だけ。その中には、2014年以降のドラフトで入団した4人の現所属選手も含まれており、今後デビューを果たす可能性は十分にある。すでに58人が1軍公式戦に出場している。

 同時期に巨人には98人が入団したが、52人が「1軍出場なし」。4割強の44人しか1軍に出場していない。同じドラフトによるプロ入りでも、大きく状況が異なることがわかるだろう。

 過去10年のドラフト実績を振り返る。※は現時点でのNPB現役選手。

◯2008年
1位・大野奨太 捕 東洋大学・794試383安29本155点 3盗 打率.216※
2位・榊原諒 投 関西国際大学・146試11勝6敗0S32H 防御率2.87 オリックスへ
3位・矢貫俊之 投 三菱ふそう川崎・121試6勝8敗1S15H 防御率3.76 巨人へ
4位・土屋健二 投 横浜高・2勝3敗0S1H 防御率10.80 DeNAへ
5位・中島卓也 内 福岡工業高・743試470安1本120点 122盗 打率.241※
6位・杉谷拳士 内 帝京高・431試182安5本60点 35盗 打率.223※
7位・谷元圭介 投 バイタルネット・369試24勝20敗6S107H 防御率3.31 中日へ※

 大野は今や日本ハムの正捕手。今オフの、FA権の行使を宣言した。2位の榊原は新人王を獲得したが、以後振るわずオリックスを経て引退している。5位の中島は正遊撃手に。6位の杉谷は内野のユーティリティ、コミカルなキャラクターが人気だ。7位の谷元はブルペンを支え、今季途中に中日に移籍した。

◯2009年
1位・中村勝 投 春日部共栄高・59試15勝16敗0S0H 防御率3.92※
2位・大塚豊 投 創価大学・27試1勝1敗0S2H 防御率5.40
3位・加藤政義 内 九州国際大学・52試17安1本5点 1盗 打率.193 DeNAへ
4位・運天ジョン・クレイトン 投 浦添工業高・1試0勝0敗0S0H 防御率9.00
5位・増井浩俊 投 東芝・402試33勝28敗110S129H 防御率2.70 オリックスへ※
6位・荒張裕司 捕 徳島インディゴソックス(1軍出場なし)

 1位の中村は2014年に8勝を挙げるが、今年7月にトミー・ジョン手術に踏み切った。5位の増井はクローザーとして活躍するも、今オフにFAでオリックス移籍が決まった。

2011年は現巨人菅野、2012年は大谷を1位で指名

◯2010年
1位・斎藤佑樹 投 早稲田大学・74試15勝23敗0S0H 防御率4.74※
2位・西川遥輝 外 智弁学園和歌山高・700試694安31本218点 182盗 打率.284※
3位・乾真大 投 東洋大学・74試1勝2敗0S2H 防御率5.65 巨人へ※17年戦力外
4位・榎下陽大 投 九州産業大学・35試2勝1敗0S2H 防御率3.76
5位・谷口雄也 外 愛知工業大学名電高・221試125安5本31点 15盗 打率.247※
6位 斎藤勝 投 セガサミー・9試0勝0敗0S0H 防御率6.14

 ハンカチ王子こと斎藤佑樹の入団が話題になった。2位の西川は今季2度目の盗塁王。ベストナイン、ゴールデングラブ賞にも輝く。5位の谷口雄也は外野のレギュラーをうかがっていたが、今季は右ひざの負傷で出場がなかった。

◯2011年
1位・菅野智之 投 東海大学(入団せず)
2位・松本剛 内 帝京高・140試117安5本35点 7盗 打率.267※
3位・石川慎吾 外 東大阪大学柏原高・202試96安8本43点 3盗 打率.219 巨人へ※
4位・近藤健介 捕 横浜高・407試362安17本148点 19盗 打率.298※
5位・森内壽春 投 JR東日本東北・68試0勝1敗0S16H 防御率4.03
6位・上沢直之 投 専修大学松戸高・51試17勝23敗0S1H 防御率3.51※
7位・大嶋匠 捕 早稲田大学ソフトボール部・13試3安0本1点 0盗 打率.188※

 菅野を1位で指名するも入団を拒否される。2位の松本は今季、主に「2番・右翼」で規定打席に。4位の近藤は今季、規定打席未満ながら4割を記録し、注目された。6位の上沢は先発で活躍。7位の大島は早稲田大ソフトボール部出身で話題となった。

◯2012年
1位・大谷翔平 投 花巻東高 
85試42勝15敗0S1H 防御率2.52 
403試296安48本166点 13盗 打率.286※
2位・森本龍弥 内 高岡第一高・5試1安0本0点 0盗 打率.111※
3位・鍵谷陽平 投 中央大学・207試15勝12敗5S42H 防御率3.37※
4位・宇佐美塁大 内 広島工業高(1軍出場なし)※17年戦力外
5位・新垣勇人 投 東芝・11試1勝3敗0S0H 防御率7.89※
6位・屋宜照悟 投 JX-ENEOS・23試3勝0敗0S1H 防御率6.75 ヤクルトへ※
7位・河野秀数 投 新日鐵住金広畑・56試1勝2敗0S12H 防御率2.92

 大谷翔平は投打で破天荒な活躍を見せ、今オフのMLB移籍を目指している。鍵谷陽平は右の中継ぎ投手として活躍している。

◯2013年
1位・渡邉諒 内 東海大学甲府高・34試8安1本3点 0盗 打率.157※
2位・浦野博司 投 セガサミー・39試13勝10敗0S0H 防御率4.05※
3位・岡大海 内 明治大学・217試135安6本45点 34盗 打率.246※
4位・高梨裕稔 投 山梨学院大学・61試17勝10敗0S1H 防御率3.07※
5位・金平将至 投 東海理化・11試0勝0敗0S0H 防御率6.30
6位・白村明弘 投 慶應義塾大学・106試6勝5敗2S15H 防御率2.86※
7位・岸里亮佑 外 花巻東高・9試4安0本1点 0盗 打率.235※
8位・石川亮 捕 帝京高・29試7安0本6点 0盗 打率.219※

 浦野は先発投手としてローテ入りの期待がかかる。岡は外野手のポジション争いに食い込む。高梨は昨季、入団3年目で新人王に。白村も中継ぎ投手として活躍が期待される。

今季もルーキー6選手が1軍デビュー、清宮にも早い時期にチャンス与える可能性

◯2014年
1位・有原航平 投 早稲田大学・65試29勝28敗0S0H 防御率4.10※
2位・清水優心 捕 九州国際大学付属高・67試24安1本10点 0盗 打率.198※
3位・浅間大基 外 横浜高・117試65安1本22点 7盗 打率.230※
4位・石川直也 投 山形中央高・38試0勝1敗0S8H 防御率4.26※
5位・瀬川隼郎 投 室蘭シャークス・0勝0敗0S0H 防御率3.38※17年戦力外
6位・立田将太 投 大和広陵高(1軍出場なし)※
7位・高濱祐仁 内 横浜高・4試2安0本0点 0盗 打率.154※
8位・太田賢吾 内 川越工業高・40試14安1本6点 0盗 打率.171※
9位・佐藤正尭 捕 愛知啓成高(1軍出場なし)

 有原航平は今季不振だったが、ローテーションの柱の一人。清水は、大野に次ぐ2番手捕手に成長。浅間も外野の有望株だが、今季は椎間板ヘルニアに悩まされ、オフに手術を受けた。

◯2015年
1位・上原健太 投 明治大学・10試1勝5敗0S1H 防御率6.06※
2位・加藤貴之 投 新日鐵住金かずさマジック・51試13勝9敗0S1H 防御率3.49※
3位・井口和朋 投 東京農業大学北海道オホーツク・54試0勝2敗0S4H 防御率4.31※
4位・平沼翔太 内 敦賀気比高・4試0安0本0点 0盗 打率.000※
5位・田中豊樹 投 日本文理大学・23試0勝0敗0S4H 防御率2.82※
6位・横尾俊建 内 慶應義塾大学・60試34安7本20点 0盗 打率.225※
7位・吉田侑樹 投 東海大学・5試2勝2敗0S0H 防御率5.32※
8位・姫野優也 外 大阪偕星学園高(1軍出場なし)※

 2位の加藤は今季120回を投げてローテを担う。6位の横尾は、終盤になって本塁打を連発。“おにぎり君”のニックネームがついた。来季の主軸候補だ。

◯2016年
1位・堀瑞輝 投 広島新庄高・4試0勝1敗0S0H 防御率3.38※
2位・石井一成 内 早稲田大学・114試65安3本24点 3盗 打率.205※
3位・高良一輝 投 九州産業大学(1軍出場なし)※
4位・森山恵佑 外 専修大学・5試0安0本0点 0盗 打率.000※
5位・高山優希 投 大阪桐蔭高(1軍出場なし)※
6位・山口裕次郎 投 履正社高・(入団せず)※
7位・郡拓也 捕 帝京高・1試0安0本0点 0盗 打率.000※
8位・玉井大翔 投 新日鐵住金かずさマジック・24試1勝2敗0S1H 防御率2.59※
9位・今井順之助 内 中京高・1試1安0本1点 0盗 打率.250※

 2位の石井一成は中島卓也の故障もあって遊撃手として抜擢される。6位の山口は、ヤクルトにドラフト1位で入団した寺島成輝とともに履正社高校のWエースだったが、入団せずにJR東日本に進んだ。

◯2017年
1位・清宮幸太郎 内 早稲田実業高
2位・西村天裕 投 NTT東日本
3位・田中瑛斗 投 柳ヶ浦高
4位・難波侑平 内 創志学園高
5位・北浦竜次 投 白鴎大足利高
6位・鈴木遼太郎 投 東北学院大学
7位・宮台康平 投 東京大学

 こうしてみると、ドラフトで入団した選手は、よほどの事情がない限り1軍で試すのが当たり前になっていることがわかる。また、日本ハムはレギュラーになれなかった選手をどんどん他球団に移籍させている。球団の枠を超えて、選手に出場機会を与えようとしている。

 日本ハムの基本姿勢は「選手をムダにしない」ということになるだろう。
今季ドラフトで指名された清宮幸太郎や、東大の宮台康平も、早い時期にチャンスが与えられるだろう。

(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2