日本製鋼所、室蘭で新工場完成 航空機用複合材に進出、18年度に生産開始

 日本製鋼所(社長・宮内直孝氏)は7日、室蘭製作所で航空機複合材の新工場を完成したと発表した。航空機の構造部材用の炭素繊維・樹脂複合材や金属接着製品を生産する。各種認証の取得を進め、新明和工業の外注先として18年度内に生産開始する予定。新工場の投資額は十数億円。既存建屋などを使用することで投資額を抑制した。同社は新規事業開発を中期課題の一つに据えており、室蘭における航空機部材への進出はその一環。長期的視野で事業強化を進める。

 日鋼・室蘭は原子力・防衛分野などで世界最高水準の品質規格への対応力を持ち、風力発電などの分野で複合材製造の豊富な実績もある。航空機部材への進出に当たり、品質マネジメントシステム認証(JISQ9001)や顧客認証、複合材や検査における特殊工程(Nadcap)の認証取得に取り組んでいる。

 新明和工業は産業機器分野で長年の取引関係があり、航空機部材への進出で協力を受けてきた。当面は新明和工業の外注先として事業展開を進める計画で、同社との相互協力と発展を目指す。

 風力発電機器のブレードを製造していた工場建屋(6864平方メートル)を活用して生産体制を構築した。主な設備は大型オートクレーブ装置、複合材接着室、自動超音波探傷装置など。現時点の専任従業員は19人。7日に開催した竣工式には宮内社長らが出席した。

 日鋼は次期中期計画において大型鋳鍛鋼品の製品転換を進めて、鉄鋼事業では売上高400億~450億円で黒字を出せる収益体質を目指す。その上で鉄以外の素材系事業を育成し、室蘭の事業規模を600億円程度に拡大していこうとしている。

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