《銀座》百々新「鬼にも福にも-もうひとつの京都-」写真展 13日(水)まで開催

 京都といえば古都エリアが有名ですが、天橋立(京都府宮津市)や宇治の茶畑、美山かやぶきの里など、風光明媚な地域はまだまだあります。古都エリアを除く、京都府内26市町村を、今注目の写真家・百々新さんが3年かけて撮りためた写真展「鬼にも福にも-もうひとつの京都-」が、キヤノンギャラリー銀座で始まりました。13日(水)まで開催されています。京都の新たな一面に出会えるかもしれませんよ。

 「もうひとつの京都」は2014年から京都府の取り組んでいる地域活性化プロジェクト。府内26市町村を天橋立などのある「海の京都」、美山など日本の原風景を残す「森の京都」、茶の生産で有名な宇治市などの「お茶の京都」、「かぐや姫」伝説発祥の地とされる「竹の里・乙訓」の4エリアに分けてPRしています。プロジェクトの一環で、百々新さんが各エリアの四季の風景や人々の営みを3年かけて撮影。写真展では厳選した70点の作品を、京都府産の栗材の手作りの額縁に入れて展示しています。

 作品の一部を紹介します。

海の安全を祈る「雄島参り」(舞鶴市冠島)
宇治茶の茶摘み(宇治市宇治善法)
晩酌にいただくタコを噛んで絞める男性(京丹後市網野町浜詰)

 写真展を見に来た宇治市出身の主婦は「京都の写真だと知らずに見に来ましたが、知っている景色があってうれしかったです。京都に住んでいても知らない景色もあって面白いですね」と話していました。

 百々新さんは、1974年大阪府吹田市生まれ。カスピ海沿岸諸国に注目した写真集「対岸」で、2013年に写真界の芥川賞と言われる「木村伊兵衛写真賞」を受賞しました。今年公開された河瀨直美監督の「光」では初めて映画撮影監督を務めました。「光」は、第70回カンヌ国際映画祭で、キリスト教関連の団体や批評家によって選ばれるエキュメニカル賞を獲得しています。9日(土) 午後4時からは、百々さんによる作品解説も行われます。

 「地図を塗りつぶす感覚で裏道まで走り、知っているようで知らない風景を探し歩いた」という百々さん。撮影中に出会った人々との交流や風景が忘れられないと語ります。「京都は世界でも知られた観光地ですが、その京都ができるまでの歴史を残してきたのが、『もうひとつの京都』だと思う。京都の文化の源流を知ることができたのが面白かったです」と振り返ります。写真展のタイトルには、「見る人の心のあり方によって、同じものでも見え方が違う」という思いを込めました。「地域の方のいろいろな暮らしを知り、自分の生き方はどうかなあ、と考えてみてほしい」と話していました。

 あなたの知らない京都に出会えるかもしれませんよ。

長岡天満宮(長岡京市天神)

Image Credit:百々新

【「鬼にも福にも-もうひとつの京都-」写真展】

開催:13日(水)まで
   9日(土)16:00~ ギャラリーにて百々新さんによる作品解説

時間:10:30~18:30

場所:キヤノンギャラリー銀座(東京都中央区銀座3-9-7トレランス銀座ビル1F)

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