つい言ってない?あなたを不幸にする「ネガティブワード」

気がつけば、いつもグチばかりではありませんか? 実は、ネガティブワードが不幸を加速しているかもしれないのです。

こんなネガティブワード、つい言ってしまってませんか?

「どうせ~」

「超だり~(だるい)」

「最近なんにもいいことないよね~」

など、気が付けばついネガティブワードを言っている、ということはありませんか?

「ただのグチだしぃ」と思っているかもしれませんが、ネガティブワードばかり口にしていると、本当に自分で不幸を呼び寄せてしまうのです。

日本には、昔から「言霊(ことだま)」という考え方があります。言霊とは、言葉にあると信じられてきた呪力のこと。ポジティブワードをいつも発していれば自然自然と幸せが訪れますが、ネガティブワードを発しているとそのパワーで不幸を招いてしまうと信じられてきました。

「そんな迷信を…」と思うかもしれませんが、実際にあなたの周りの人を観察してみてください。「な~んにもいいことないよね」「つまんね~」などネガティブワードばかり吐いている人は、あまりついてない人、いま一歩幸せをつかめていない人が多くないでしょうか?

ネガティブワードばかりの人は、自分に甘い人!?

そもそも、どうしてこう気軽にネガティブワードを発してしまうのでしょう? いつも自分を高めたい、幸せになりたいと思う人は、めったに軽口程度のネガティブワードは吐かないものです。

ネガティブワードを発するのは、ずばりそのとき「楽」になりたいからではないでしょうか? たとえば、ちょっとイライラしたときに「ムカつく!」とひとこと口に出せば、その場のストレスは発散されます。

でも、それはゲップをしているようなものです。「体の中にガスがたまって気持ち悪いから吐き出しちゃえ」という感覚と同じ。吐き出すことでその場が楽になればいい、という単純な発想からきているように思えます。

人間は楽を求めると、生き方もゆるくなっていきます。しかし、楽さに甘えて自分を高められないでいると、心の底ではどこか自分に満足できず、そのジレンマがネガティブワードへとつながっていくのではないでしょうか。

「響き合い」のコミュニケーションを意識しているか?

さらに、ネガティブワードは自分だけでなく、周りの人間にも不幸の種をまいてしまいます。何気なく言った一言が、その場の空気をよどませコミュニケーションを阻害させる一因になりやすいのです。

『声に出して読みたい日本語』の著者でもある斉藤孝氏は、コミュニケーションは響き合いである、と説きました。響き合うなかで、お互いのレスポンスが身体の内側のエネルギーを引き出し合うのだと述べています※。

ネガティブワードをよく発する人は、こうした「響き合い」のコミュニケーションをふだんから意識しているでしょうか?「ただのグチ」とはいえ、それを日常的に垂れ流してばかりいると、コミュニケーションはどうなるでしょう? 円滑に進まないばかりか、相手からもいいものを引き出すことができません。せっかくの人と人とのつながりを、自分の人生にプラスに生かすことができなくなるのです。

今のままの自分でいいの?

とはいえ、ネガティブワードが頭に浮かんでしかたない。人に聞いてもらわなければ、いてもたってもいられない。ということは、誰にでもあるものです。

しかし、グチをただやみくもに他人にばら撒くのではなく、まずは内省する材料に使うことを考えましょう。ネガティブワードが浮かぶのは、今の自分や現状に満足していないから。どこを変えればいいのか、そのために何ができるのか、を考えるチャンスでもあるのです。

それを考えることなしに、まずネガティブワードを吐いてしまうと、内省する機会を失ってしまいます。すると、自分はどこを見直したらいいのか、そのポイントがわからなくなるのです。

「グチはためないほうがいい」とよくいわれますが、内省することなしに吐いてばかりいるのも、よくないのです。グチを言ったときには、なぜグチがでるのか、同じグチを言わないためにはどうしたらいいのかを考えることが大切です。

「たかがグチ」と思うかもしれませんが、そのひとことに注意を向けないでいると、自分をさらなる不幸に追いやることにもなりかねません。ご用心を。

※引用文献『コミュニケーション力』斉藤孝著(岩波新書 2004)

(文:大美賀 直子)

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