自分で発見できる数少ないがんとは?

医師による健康診断がなくても、自分で発見できるがんがあることをご存じでしょうか?

がん克服のポイントは、早期発見、早期治療

がんの治療に大切なのは、早期発見と早期治療である。この概念は、近年、徐々に広まりつつあると思います。

最近、がん検診の有力な手段として注目を集めているPETも、まさに、この早期発見の切り札とも言える検査です。

また、いろいろな最新機器を取りそろえて、がんの早期発見を呼びかける検診センターも増えていますし、都心部ではホテルに宿泊するようなちょっとリッチながん検診コースなどもあります。

自分で発見できるがんがある!?

確かに、がん検診は医師が行いますし、医師の詳細な診察と正確な診断が、早期発見、早期治療に有効であることは間違いありません。

また、それと同時に、からだへの負担が少なく、小さい異常も見逃さない検査法は年々進歩しています。

以前は、とても太かった胃カメラも、ここ数年、かなり細くなりましたし、口からではなく鼻から挿入する経鼻胃内視鏡検査が一般的になりつつあります。また、前立腺がんの早期発見にPSAという腫瘍マーカーが用いられるように、血液検査の守備範囲も広くなってきました。

しかし、実は、このような最新の機器を使わなくても、自分で発見できるがんがあるということは、あまり知られていません。

乳がんの自己検診

医師による検診でなくても、自分で発見できるがんの代表、それが、乳がんです。

乳がん検診では、医師による触診、マンモグラフィーというレントゲン検査、超音波検査が行われます。確定診断のためには、生検といって、腫瘤になっている部分の細胞を一部採取し、顕微鏡検査にてがん細胞の存在を確認する必要があります。

しかし、これと並行して、月に1回、乳がんの自己触診をしておくことは、非常に大切です。実際、入浴中や、就寝中に、自分で何気なく触ってみて、しこりに気づいたということで受診される方も少なくありません。これも、立派な早期発見、早期治療と言えるでしょう。

自己検診の意味と注意点

私が研修医の頃、先輩の先生に教えられた話があります。

乳がん検診の意味は、乳腺の触診の仕方を患者さんに体験してもらうことで、あとの11ヶ月を患者さん自身でやってもらうということにある、といっても過言ではない。

あくまで、雑談の中で出てきた言葉ではありますが、それほど乳がんの自己検診が重要であるということのあらわれではないか、と思っています。

とは言っても、過信は禁物。最近は、ライフスタイルの変化の影響で、女性の乳がんが増えています。月に1回の自己検診に併せて、年に1回のがん検診という組み合わせが、一番おすすめの乳がん対策です。

(文:狭間 研至)

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