12月に上がりやすい業種は?鉱業や保険業?

12月は、3月決算企業の中間決算が一巡するため株価が上昇する傾向がありますが、一方で個人の節税対策の売りが出やすいことから、売り圧力が強まる月でもあります。そして個人の節税対策の売りが一巡して売り圧力が弱まると、再び買いが入りやすくなり、株価は年末に向けて大きく上昇に転じると言われています。今回は、このような傾向がある12月の株式相場においてどんな業種が上がりやすいのかを調べてみました。

12月に上がりやすい業種は?

11月に米国の投資信託やヘッジファンドの決算が終わるため、12月は手仕舞った株の買い戻しが入り再度上昇する傾向があります。一方で、個人の節税対策の売りが出やすいことから売り圧力が強まる傾向もあります。そして個人の節税対策の売りが一巡し売り圧力が弱まると再び買いが入りやすくなり、株価は年末に向けて大きく上昇に転じると言われています。こういった12月相場の流れは相場のアノマリー「掉尾の一振(ちょうびのいっしん)」として投資家に広く知られています。

今回は、こうした傾向のある12月の株式相場においてどのような業種が上がりやすいのかについて、過去の株価データから統計的に検証してみました。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

検証対象:日経平均採用銘柄(225銘柄)

検証期間:1990/03/01~2017/10/31

1銘柄当たりの投資金額:20万円

買い条件

・11月末の最終営業日の寄り付きで買い

売り条件

・25営業日経過後の翌営業日寄り付きで売り

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

11月末にある業種の銘柄をすべて購入し、25日経過後に売却した場合について検証を行います。仮に勝率が50%以上で損益がプラスならば、株価が上がりやすいと言えます。

以上のルールで過去のデータを用いて検証した結果は、以下の通りです。

12月相場で好調な業種ランキング、ベスト3

1位:鉱業(1銘柄)

システムトレードの達人

勝率: 81.82 %

勝ち数: 9 回

負け数: 2 回

引き分け数: 0 回

平均損益(円): 10,483 円  平均損益(率): 5.24 %

平均利益(円): 14,027 円  平均利益(率): 7.01 %

平均損失(円): -5,466 円  平均損失(率): -2.73 %

合計損益(円): 115,315 円  合計損益(率): 57.66 %

合計利益(円): 126,246 円  合計利益(率): 63.12 %

合計損失(円): -10,931 円  合計損失(率): -5.47 %

プロフィット・ファクター(合計利益÷合計損失): 11.549

平均保持日数: 27.55 日

2位:陸運業(2銘柄)

システムトレードの達人

勝率: 71.70 %

勝ち数: 38 回

負け数: 15 回

引き分け数: 1 回

平均損益(円): 4,241 円  平均損益(率): 2.12 %

平均利益(円): 10,795 円  平均利益(率): 5.40 %

平均損失(円): -12,078 円  平均損失(率): -6.04 %

合計損益(円): 229,025 円  合計損益(率): 114.52 %

合計利益(円): 410,202 円  合計利益(率): 205.11 %

合計損失(円): -181,177 円  合計損失(率): -90.59 %

プロフィット・ファクター(合計利益÷合計損失): 2.264

平均保持日数: 27.44 日

3位:保険業(6銘柄)

システムトレードの達人

勝率: 68.33 %

勝ち数: 41 回

負け数: 19 回

引き分け数: 1 回

平均損益(円): 7,336 円  平均損益(率): 3.67 %

平均利益(円): 14,914 円  平均利益(率): 7.46 %

平均損失(円): -8,630 円  平均損失(率): -4.32 %

合計損益(円): 447,518 円  合計損益(率): 223.77 %

合計利益(円): 611,494 円  合計利益(率): 305.76 %

合計損失(円): -163,976 円  合計損失(率): -81.99 %

プロフィット・ファクター(合計利益÷合計損失): 3.729

平均保持日数: 27.59 日

以上が、12月相場で好調だった3業種の検証結果です。検証結果を見てみると、どれも勝率が50%を上回り1トレード当たりの平均損益もプラスになっています。従ってこの3業種は12月に上がりやすい傾向があると言えるでしょう。

では、これらの業種の中で特に上昇傾向が強かったのはどの銘柄でしょうか?最後に、12月相場で好調だった個別銘柄をご紹介します。

12月好成績ランキング

システムトレードの達人

上の表は、先ほどの検証において特に勝率が高かった個別銘柄のランキングです。12月相場は「SOMPOホールディングス」「国際石油開発帝石」「MS&ADインシュアランス」などが好調のようです。

12月はボーナス月でもあることから、個人投資家の投資資金が増えることが予想されます。個人投資家の資金量が増えることも、上記のような銘柄の成績が好調である要因の一つと言えるでしょう。12月は、ご紹介した3業種(鉱業・陸運業・保険業)の銘柄に注目してみてはいかがでしょうか。

(文:西村 剛)

© 株式会社オールアバウト