被爆者の声「語り継ぐ」 横須賀で市民団体発足

 被爆者に代わって戦争体験を継承しようと、横須賀市の地域住民らが市民団体「被爆体験を語り継ぐ会」を発足した。原爆投下から72年、被爆者の高齢化で証言を直接聞くことが困難となる中、これまで撮影してきた映像の活用を構想。非核と不戦の思いを若い世代に伝えようと、効果的な道を模索している。

 同団体は、別の市民団体で活動してきた三澤幸子さん(69)らが中心となり立ち上げた。三澤さんは10年ほど前から、別の市民団体の活動の一環として県原爆被災者の会横須賀支部「なぎさ会」を招いた講演会を市内で開催してきた。

 近年、被爆者が亡くなったり、高齢化で「(会場まで)歩けなくなった」などと来場できなくなったりすることが増え、生の体験を継承する難しさを痛感。2回の講演会で撮影した映像の活用を思いついた。

 「やけどを負った人たちを看護師として救護した」「大人に連れられて街を歩いて、人形があると思ったら焼けた遺体だった」。各回では4〜5人がそれぞれの被爆体験を語っている。

 本町コミュニティセンター(同市本町)で4日、初めての会合を開催。活動に関心を持った13人が横須賀市内を中心に集まり、記録映像を見た後に「東日本大震災もあっという間に忘れられそうになっている中、伝える大切さを感じた」「自分たちが語り継がないといけない」などと意見を交わした。

 具体的な活動内容は今後話し合って決めていく。講演会の映像をテープ起こしして台本をつくり、子どもたちによる寸劇や朗読などを考えているという。

 同会はメンバーを募集中。沼崎真奈美代表(53)は「一番良くないことは無関心。まずは若い世代の人たちにも(会合に)来てほしい。私たちにできることは何か考えていきたい」と話している。

 問い合わせは、沼崎代表電話090(4412)2001。

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