ガスリー、悪夢の交通事故を乗り越えてF1へ。GP2初優勝直前に大クラッシュ

 ピエール・ガスリーは、2016年に、F1ドライバーになるという夢を奪ったかもしれないほどの大事故に遭っていたことを明かした。

 ガスリーは2016年にGP2のタイトルを獲得し、翌2017年には日本のスーパーフォーミュラにフル参戦。同年のF1マレーシアGPでトロロッソからF1デビューを果たし、そのまま2018年のレースドライバーになることが決定した。

「F1に到達するために全力を尽くした。道は長く険しく、たった20人のドライバーにしかチャンスがないことは分かっていたけれど、(実現できると)確信していた」とガスリーは語っている。

 オランダのFormule 1誌のインタビューで、2016年に大きな交通事故に遭っていたことについて聞かれたガスリーは、いかに悲惨な状況だったかを明かした。

 2016年の夏、ガスリーはGP2レースに出場するため、両親やトレーナーとともに車でシルバーストンへ向かっていた途中、前を走る車の運転手の不注意により大きな交通事故に遭ったという。

「僕は後部座席の真ん中に座っていた」とガスリーは事故について語った。「僕の母が左側に座っていた」

「僕たちの車は衝突し、四回転して道路の50メートル先で、逆さまの状態で止まった」

「どこもかしこも血だらけだった。いたるところに血が飛び散っているのが見えた。僕は母が死んでしまうのではないかと思った。母は呼吸がしづらくなっていて、僕と同じように心底怖がっていた」

 同乗していた家族やトレーナーが入院するなか、ガスリーはレースに出場、その週末のフィーチャーレースで自身にとってのGP2初優勝を飾り、この勝利を入院中の母親に捧げた。彼の母親はそれから3カ月あまりも退院できなかったが、2016年最終戦アブダビ戦には息子の応援に訪れ、見事勝利を挙げる瞬間に立ち会うことができた。

© 株式会社三栄