病気のサイン!?「口臭」が教えてくれる体の異常

口臭の中でも、最近増えているのが生活習慣によるもの。偏食による栄養の偏り、飲酒、喫煙、ストレスなどは、口臭の原因になります。

こんなにあった! 口臭の原因

人間関係にも影響を及ぼしかねない“口臭”。でも、口臭と言っても、その原因や発生のメカニズムは様々です。

ニンニクなどが入った料理を食べた後は、誰でも口臭がしますし、緊張して口が渇き、唾液の洗浄機能が低下することでも口臭は発生しやすくなります。

ここまでは誰でも経験する口臭と言えますが、問題なのは、そうではないのに出る口臭。代表的なものが歯周病です。歯周病の原因菌は、口の中で硫化水素やメチルメルカプタンなどの口臭原因物質を産生させます。

また、消化器が不調になると、食べたものが正常に消化されず、腐敗したようになり、胃から逆流して口臭となります。消化器疾患、代謝異常などによっても消化器や呼吸器から独特なニオイが発生して、口臭の原因になります。

自分では気付きにくい口臭

他人の口臭は耐え難いものに感じますが、本人がニオイを感じることはほとんどありません。これは鼻の粘膜にある臭覚センサーが疲労(順応)するためで、強いニオイを常に感じていると、そのニオイを感じなくなってしまいます。

他人から「口が臭い!」と、指摘されたら、自分では気が付かなくても、冷静に口臭の原因を考えてみることが大切です。

前述したように、原因としてはニンニクなどの食物、虫歯や歯周病、胃の不調など色々考えられますが、これらに該当しないのに口臭がある場合は、腎臓、肝臓などの疾患、糖尿病などの代謝性疾患、耳鼻咽喉の疾患、呼吸器の疾患を疑ってみる必要があるかもしれません。

他人から指摘されないのに自分の口臭を強く感じる、という人は、自臭症を疑ってみる必要があります。自臭症とは、実際には口臭はないか、あっても誰でもあるレベルなのに、強くニオイを気にする症状のことで、精神疾患の一部とされています。

気になる口臭の対処法

口臭は原因も発生部位も様々なため、改善をするにはその原因を正確につかむ必要があります。以下に代表的な口臭対策を紹介します。

●別のニオイでマスキングする

ニンニクを食べた後のニオイなどを消すには、更に強い別のニオイで口臭を隠すマスキング法があります。「ブレスケア」シリーズのような、メントールなどの強い爽やかなニオイを使った製品があります。

●口周りのトラブルからくる口臭を防ぐ

口臭と深く関係する歯周病は、歯科医などの指導や治療を受けて改善する必要がありますが、歯磨きなど、自分でできる対策もあります。サンスターの「GUM(ガム)」など歯周病に効果があるとされる歯磨きが各社から発売されています。

最近では小林製薬の「生葉(しょうよう)」など天然成分を配合した歯磨きも発売されています。ユニークな製品としてササヘルスの「クマ笹歯みがき」もあります。これは歯科大学と共同開発されたクマ笹エキスを配合の歯磨きです。

ジョンソン・エンド・ジョンソンの「リステリン」などのマウスウォッシュを併用するのも効果的かもしれません。合わない入れ歯をしていることが原因の場合もありますが、この場合には、入れ歯を直すことで解消します。

●生活習慣による口臭を防ぐ

生活習慣の改善、すなわち偏食による栄養の偏り、飲酒、喫煙、ストレスなどをコントロールすることが不可欠です。また、子どものころから柔らかい食べ物ばかり食べ続けると、あごの骨が発達しづらく、歯並びが悪くなる傾向があります。

歯並びの悪い口の中は食べカスがたまりやすく、口臭、虫歯、歯周病が発生しやすくなります。こうしたケースの場合は早急に歯科医に相談することをおすすめします。

「たかが口臭」と、そのままにしておくと、重大な病気にまで発展する可能性があります。「口臭は体から発信されるSOS」と考え、歯だけでなく、普段から体全体のケアをしておくことが大切でしょう。

(文:大泉 高明)

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