『彼女が目覚めるその日まで』 原因不明の病に突然冒される恐怖

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 抗NMDA受容体自己免疫性脳炎という難病にかかった女性、スザンナ・キャハランさんの手記を元に映画化した作品。映画『キック・アス』のクロエ・グレース・モレッツが主演を務めます。

 スザンナは、ニューヨーク・ポスト紙で働く新人記者。仕事に恋に人生を謳歌していた日々の中、スザンナは突然ぼーっとすることが多くなり、イライラしたり、泣き出したりという情緒不安定な精神状態に。幻覚や幻聴が聞こえ、まともな日常生活が送れなくなってしまった彼女は、ついにてんかんの発作を起こし、入院します。検査しても原因は分からず、そのうち不安定な精神状態を見た医師から「統合失調症」「躁鬱病」など精神科への受診を勧められます。「娘は精神病ではない」と信じ続けた家族と、彼氏の訴えにより、本当の病名を明らかにするまでの壮絶な記録です。

 この映画が取り上げている、「抗NMDA受容体自己免疫性脳炎」の患者さんを基にした作品『8年越しの花嫁』も同じ日に公開になりますが、私はどちらの映画も観ていただければと願っています。現在も世界中にこの病気の患者さんがいて、もしかしたら本当の病名を知らないまま、スザンナのように精神科に送られてしまう方がいるかもしれません。この映画は、スザンナがかかった病気の恐ろしさをクロエの素晴らしい演技で訴えています。私自身、この病気について全く知らなかったので、多くの人が知るきっかけになれば、それは素晴らしいことだと思っています。★★★★★(森田真帆)

12月16日(土)から全国順次公開

監督:ジェラルド・バレット

出演:クロエ・グレース・モレッツ、トーマス・マン

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