住民税通知、マイナンバー記載を見送り 藤沢市

 毎年5月に自治体が企業に送付している個人住民税の税額通知書への個人番号(マイナンバー)記載について、神奈川県藤沢市は2017年度に続き、18年度以降も当分の間は見送る方針を決めた。「個人情報を安全に管理する態勢が確立されていない」ことなどが理由で、市は、記載して郵送した他自治体では誤送付などにより情報漏えいも起きているとした。11日の市議会総務常任委員会で報告した。

 通知書は、毎年5月末までに市町村が個人住民税額を企業と従業員に送付する「特別徴収税額の決定通知書(事業者用)」。総務省は全国の自治体に対し、本年度から同通知書にマイナンバーを記載するよう求めている。

 藤沢市は今年5月の送付について、「個人の同意のない中で自治体や事業者が番号を共有することは、個人情報保護の観点から好ましくない」との考えなどから、マイナンバーの記載を見送った。

 一方、18年度以降については、マイナンバーを記載しない税額通知書を普通郵便で企業に送り、その後、氏名などは書かず、社員番号など本人と分かる記号とマイナンバーだけを記した表を別途、普通郵便で送る方法を検討した。だが、諮問機関の市個人情報保護制度運営審議会がマイナンバーを安全に管理する態勢が行政、企業ともに整っていないことなどを理由に「不承認」とした。

 市は諮問結果を踏まえて再検討したが、個人情報保護の対策を新たに講じることは難しいとし、当分の間は記載しないことを決めたという。

 市によると、今年度、県内では29市町村が記載し、4市町が記載しなかった。6市1町では誤送付、漏えいが発生し、マイナンバーの変更を余儀なくされるケースもあったという。

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