英国人小説家カズオ・イシグロ氏(63)がノーベル文学賞を受賞した10日(日本時間11日)、ふるさとの長崎では、親族や恩師から「とにかくすごい。直接会って祝福したい」と改めて喜びの声が上がり、関心の高さもうかがわせた。
「作品ごとに変わる世界観に驚いていたが、ノーベル賞は青天のへきれきだ」。いとこの獣医師藤原新一さん(71)=長崎県川棚町=は目を細めた。
長崎市で生まれたイシグロ氏は、5歳で渡英するまで、藤原さんと家族ぐるみの交流をしていた。1989年11月、同市で2人は再会。藤原さんは「おとなしい雰囲気は、変わっていなかった」と感じたという。著作が出るたびに買い求めていたといい「これからも、どんな小説を書くかが楽しみ」と、さらなる活躍を期待する。
「長崎に来たら、何をしてあげたら喜ぶかしらね」。イシグロ氏が通った長崎市内の幼稚園で担任だった田中皓子さん(92)は、10月の受賞決定以来、教え子の来日を心待ちにしている。「一緒に食事をして、おめでとうと伝えたい」と声を弾ませた。