近年は主力候補が続々と入団 オリックス、過去10年のドラフト査定

オリックス・吉田正尚【写真:荒川祐史】

12球団で唯一CSファイナル進出なしも…最近は明るい兆し?

 オリックスは毎年、はっきりした補強ポイントをもってドラフトに臨んでいる。しかし近年は、そうして獲得した選手から主力級がなかなか育たなかった。そのためもあって12球団で唯一、CSファイナルステージに進出していない。

 しかし最近になって、少し明るい兆しが出てきつつあるところだ。

 過去10年のドラフト実績を見ていこう。※は現時点でのNPB現役選手。

◯2008年
1位・甲斐拓哉 投 東海大学付属第三高(1軍出場なし)
2位・伊原正樹 投 関西国際大学・12試0勝6敗0S0H 防御率6.65
3位・西勇輝 投 菰野高・184試64勝52敗1S1H 防御率3.25※
4位・高島毅 内 青山学院大学(1軍出場なし)
5位・西川雅人 投 愛媛マンダリンパイレーツ・14試0勝1敗0S0H 防御率6.75

 この年は5人中4人が投手。1位の甲斐は1軍で投げることなく退団。しかし3位の西が金子千尋に次ぐ先発投手に成長した。

◯2009年
1位・古川秀一 投 日本文理大学・63試0勝2敗0S5H 防御率4.48
2位・比嘉幹貴 投 日立製作所・212試15勝7敗0S45H 防御率2.75※
3位・山田修義 投 敦賀気比高・31試2勝13敗0S0H 防御率5.71※
4位・前田祐二 投 福井ミラクルエレファンツ・61試7勝7敗0S4H 防御率2.98
5位・阿南徹 投 日本通運・28試1勝0敗0S2H 防御率6.56 巨人へ

 この年は5人全員投手。2位の比嘉は救援投手として一時期活躍した。

◯2010年
1位・後藤駿太 外 前橋商業高・675試307安13本110点 24盗 打率.226※
2位・三ツ俣大樹 内 修徳高・85試13安1本6点 0盗 打率.153 中日へ※
3位・宮崎祐樹 外 セガサミー・186試116安5本39点 4盗 打率.246※
4位・塚原頌平 投 つくば秀英高・115試5勝6敗1S28H 防御率3.21※
5位・深江真登 外 明石レッドソルジャーズ・81試22安0本3点 8盗 打率.272

 一転、この年は5人中4人が野手。1位の後藤駿太は「駿太」の登録名で活躍中。3位の宮崎も外野のポジションを伺う。4位の塚原は今季、右ひじ痛のため活躍できなかった。

毎年レギュラークラスの選手が入団

◯2011年
1位・安達了一 内 東芝・690試528安28本199点 73盗 打率.241※
2位・縞田拓弥 内 JR東日本・231試54安4本26点 5盗 打率.189※
3位・佐藤達也 投 Honda・262試11勝21敗14S109H 防御率2.71※
4位・海田智行 投 日本生命・195試5勝16敗0S32H 防御率3.66※
5位・庄司龍二 捕 ジェイプロジェクト(1軍出場なし)
6位・堤裕貴 内 龍谷高・14試3安0本2点 1盗 打率.115
7位・小島脩平 内 住友金属鹿島・237試112安2本36点 16盗 打率.215※
8位・川端崇義 外 JR東日本・366試262安5本73点 21盗 打率.255
育1位・稲倉大輝 外 熊本国府高(1軍出場なし)
育2位・柿原翔樹 内 鎮西高(1軍出場なし)

 育成も含め10人を獲得。安達は正遊撃手だが今季は打撃不振に泣き、シーズン終盤には潰瘍性大腸炎の再燃も判明した。2位の縞田は守備で活躍。3位の佐藤は、2014年オリックスがCSに進出した年には大活躍したが、以後不振が続いている。4位の海田も中継ぎで活躍。8位の川端は今季限りで引退し、コーチ就任が発表された。

◯2012年
1位・松葉貴大 投 大阪体育大学・107試25勝34敗0S0H 防御率3.73※
2位・佐藤峻一 投 道都大学・5試0勝0敗0S0H 防御率13.50
3位・伏見寅威 捕 東海大学・65試21安1本3点 0盗 打率.236※
4位・武田健吾 外 自由ケ丘高・123試67安2本16点 0盗 打率.261※
5位・森本将太 投 福井ミラクルエレファンツ・27試2勝1敗0S1H 防御率6.68
6位・戸田亮 投 JR東日本・5試0勝0敗0S0H 防御率6.75※ 17年自由契約
育1位・原大輝 捕 信濃グランセローズ(1軍出場なし)
育2位・西川拓喜 外 福井ミラクルエレファンツ・1試0安0本0点 0盗 打率.000

 1位の松葉は貴重な左腕先発も、今季は3勝12敗と大きく負け越した。3位の伏見は一時期正捕手の期待がかかったが、現在は控え。4位の武田は勝負強い打撃で今年、頭角を現した。

◯2013年
1位・吉田一将 投 JR東日本・112試13勝14敗1S28H 防御率3.61※
2位・東明大貴 投 富士重工業・78試16勝25敗0S1H 防御率3.98※
3位・若月健矢 捕 花咲徳栄高・190試97安1本38点 0盗 打率.212※
4位・園部聡 内 聖光学院高・16試11安1本6点 0盗 打率.204※
5位・吉田雄人 外 北照高・11試0安0本0点 0盗 打率.000※
6位・奥浪鏡 内 創志学園高・15試9安0本1点 1盗 打率.265
7位・柴田健斗 投 信濃グランセローズ(1軍出場なし)
8位・大山暁史 投 セガサミー・36試1勝0敗0S6H 防御率3.19
育1位・東弘明 内 徳島インディゴソックス(1軍出場なし)

 1位の吉田一は中継ぎ、2位の東明は先発で活躍。3位の若月は今季、捕手として99試合出場。ほぼ正捕手の座をつかむ。

吉田正、近藤大、山岡、黒木らは早くも主力級の活躍

◯2014年
1位・山崎福也 投 明治大学・49試8勝13敗0S0H 防御率4.17※
2位・宗佑磨 内 横浜隼人高・13試4安0本0点 0盗 打率.154※
3位・佐野皓大 投 大分高(1軍出場なし)※
4位・高木伴 投 NTT東日本・0勝0敗0S0H 防御率6.89※17年戦力外
5位・齋藤綱記 投 北照高・1試0勝0敗0S0H 防御率9.00※
6位・坂寄晴一 投 JR東日本・1試0勝0敗0S0H 防御率27.00
7位・西野真弘 内 JR東日本・300試266安7本76点 33盗 打率.263※
8位・小田裕也 外 日本生命・152試37安2本9点 10盗 打率.236※
9位・鈴木優 投 雪谷高・2試0勝0敗0S0H 防御率37.8※

 1位の左腕・山崎は今季、先発、救援で投げる。2位の宗は、ギニア人とのハーフ。身体能力が高く注目されている。3位の佐野は2018年から育成契約となり、内野手転向が発表された。7位の西野は小柄だが二塁守備の名手として頭角を現した。

◯2015年
1位・吉田正尚 外 青山学院大学・127試138安22本72点 1盗 打率.301※
2位・近藤大亮 投 パナソニック・56試1勝1敗1S25H 防御率2.91※
3位・大城滉二 内 立教大学・186試121安1本28点 8盗 打率.239※
4位・青山大紀 投 トヨタ自動車・2試0勝1敗0S0H 防御率6.75※
5位・吉田凌 投 東海大学付属相模高・1試0勝1敗0S0H 防御率20.25※
6位・佐藤世那 投 仙台育英学園高(1軍出場なし)※
7位・鈴木昂平 内 三菱重工名古屋・117試10安0本4点 0盗 打率.133※
8位・角屋龍太 投 ジェイプロジェクト・2試合0勝0敗0S0H 防御率11.57※
9位・赤間謙 投 鷺宮製作所・31試1勝1敗0S1H 防御率4.08※
10位・杉本裕太郎 外 JR西日本・10試2安1本2点 0盗 打率.100※
育1位・塚田貴之 投 白鴎大学(1軍出場なし)
育2位・赤松幸輔 捕 香川オリーブガイナーズ(1軍出場なし)

 1位の吉田正は、故障が多いがリーグ屈指のスラッガーになる可能性を秘めた逸材として注目されている。2位の近藤は中継ぎ投手として活躍。3位の大城滉二は俊足のユーティリティ内野手として今季122試合に出場した。

◯2016年
1位・山岡泰輔 投 東京ガス・24試8勝11敗0S0H 防御率3.74※
2位・黒木優太 投 立正大学・55試6勝3敗2S25H 防御率4.22※
3位・岡崎大輔 内 花咲徳栄高・5試2安0本1点 0盗 打率.143※
4位・山本由伸 投 都城高・5試1勝1敗0S0H 防御率5.32※
5位・小林慶祐 投 日本生命・35試2勝1敗0S1H 防御率3.98※
6位・山崎颯一郎 投 敦賀気比高(1軍出場なし)※
7位・飯田大祐 捕 Honda鈴鹿・2試0安0本0点 0盗 打率.000※
8位・澤田圭佑 投 立教大学・13試0勝2敗0S0H 防御率4.15※
9位・根本薫 投 霞ヶ浦高(1軍出場なし)※
育1位・張奕 外 日本経済大学(1軍出場なし)※
育2位・榊原翼 投 浦和学院高(1軍出場なし)※
育3位・神戸文也 投 立正大学(1軍出場なし)※
育4位・坂本一将 内 立正大学(1軍出場なし)※
育5位・中道勝士 捕 明治大学(1軍出場なし)

 14人もの選手を獲得。1位の山岡は先発として、2位の黒木は中継ぎとして実績を残した。巨人・陽岱鋼の従弟の張奕も育成1位で入団。育成5位の中道は病気もあって1年で戦力外になった。

◯2017年
1位・田嶋大樹 投 JR東日本
2位・鈴木康平 投 日立製作所
3位・福田周平 内 NTT東日本
4位・本田仁海 投 星槎国際湘南高
5位・西村凌 捕 SUBARU
6位・西浦颯大 外 明徳義塾高
7位・廣澤伸哉 内 大分商業高
8位・山足達也 内 Honda鈴鹿
育1位・稲富宏樹 捕 三田松聖高
育2位・東晃平 投 神戸弘陵高
育3位・比屋根彰人 内 飛龍高
育4位・木須デソウザフェリペ 捕 御殿場西高

 毎年1~2人が1軍に定着。近年では、2015年に吉田正、近藤大、2016年には山岡、黒木と中軸、セットアッパー、エースをねらえる選手が複数出てきた。こうした選手が順調に成長すれば、オリックスの順位は上がるのではないか。

(大森雄貴 /yuki-omori、加藤勇太 / yuta-katoh)

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