34年前の激闘振り返る 蔦元監督描いた映画上映会 トークショーに球児ら集う

 徳島の池田高校を春夏3度の甲子園優勝に導いた名将・故蔦文也元監督を描いたドキュメンタリー映画「蔦監督 〜高校野球を変えた男の真実〜」の上映会が10日、横浜市戸塚区の横浜薬科大で行われ、約1300人の高校野球ファンや球児らが集まった。

 「やまびこ打線」と呼ばれた豪打で1980年代に一世を風靡(ふうび)した同校。蔦元監督の孫の哲一朗氏が映画監督を務めた同映画では、妻キミ子さんや同校OBら30人以上が思い出を語り、当時の映像を織り交ぜながら、「攻めダルマ」と呼ばれた名将の生涯が描かれている。

 上映後はトークショーが開かれ、池田OBで横浜(現横浜DeNA)などでプレーした畠山準さん、元巨人の水野雄仁さん、1983年の選抜大会決勝で池田に敗れた横浜商業高校(Y校)の古屋文雄元監督らが登壇して当時を懐かしんだ。

 水野さんは「蔦監督は怖くて『はい』か『いいえ』しか言えなかった」と吐露。Y校のエースだった三浦将明さんは、徳島県立と横浜市立の公立校対決となった83年春の甲子園決勝を振り返り、「(試合開始の)サイレンが鳴りやむ前にヒットを打たれ、勝てる気がしなかった」と明かし、高校球児に「公立の選手たちは私学を食ってやろうという気持ちで頑張ってほしい」とエールを送った。

 横浜薬科大と神奈川新聞社の共催。俣野公園・横浜薬大スタジアムで少年野球教室を開催するなど、同大が野球を通じて青少年の育成や地域貢献を推進する活動の一環。母体の都築学園グループ創始者の都築頼助、貞枝両氏が徳島出身という縁もあり実現した。

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