船医の地球一周記を出版 佐世保共済病院の萩原さん

 佐世保共済病院(長崎県佐世保市)の整形外科顧問、萩原博嗣さん(67)が「ドクトル太公望の世界周航記」を出版した。2年前、海上保安大学校の航海練習船こじま(3100㌧)に臨時医務官(船医)として乗り、101日かけ地球一周した際に見聞した旅行記を中心に収めた。

 海が好きでタイ釣りにはまるほどの萩原さん。病院副院長で佐世保海上保安部の嘱託医をしていたとき、航海練習船の船医が見つからないと聞いて応募した。2015年3月に定年退職後も勤務していた共済病院を休職し乗船した。

 練習船は乗組員と実習生計77(女性12)人を乗せ15年4月28日広島県呉市を出航。ホノルル(米ハワイ)、プンタレナス(中米コスタリカ)、ニューヨーク(米)、マルセイユ(仏)、モナコ、シンガポールの6港に寄り8月6日に呉市に帰港した。

 平均5日ほど停泊した各港は萩原さんにとっていずれも初の訪問地だった。雰囲気や名所旧跡、人との出会いなどを記録。帰国後、小冊子にまとめ知人や患者らに配布したところ好評だった。その一人、小西宗十佐世保文化協会長から出版を勧められたという。

 1600年に日本に来航し平戸で死去した英国人ウィリアム・アダムズ(三浦按針)や、江戸時代に平戸・生月近海で鯨を捕った男たち「羽指(はざし)」の活躍に触れた随筆などを加えて出版した。萩原さんは「肩の凝らない読み物。飛行機の旅とは違う、のんびりとした雰囲気を味わってもらえると思う」と話す。B6変型判280㌻、1296円。佐世保市の金明堂書店などで販売している。問い合わせは芸文堂(電0956・31・5656)。

航海中に巡視で接近した伊豆諸島南の嬬婦岩(そうふがん)と、鯨の絵をカバーに配した本を手にする萩原さん=佐世保市島地町、佐世保共済病院

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