戸数維持し建て替えへ 横浜市営住宅再生で

 横浜市は、老朽化が進む市営住宅の再生に関する基本的な考え方(素案)をまとめた。バリアフリー化されておらず、著しく居住性能が低い住宅を優先して2020年ごろから順次建て替える方針。市では19年をピークに人口減となる見込みだが、高齢者らのニーズが高いため、戸数は当面維持する。15日から素案に対する市民意見募集を始め、来年4月に策定予定。

 素案によると、市営住宅は築40年以上が4割超、30〜39年が2割弱を占める。応募者の約半数が単身で、そのうち7割が高齢者。応募倍率は15倍前後で推移している。

 公営住宅法の耐用年限70年に合わせると、30年ごろから建て替えが集中するため、財政負担などの影響を考慮して、10年程度前倒しして長期化、平準化させる。対象は1981年以前に建設された直接建設型の36カ所(約1万4千戸)。約30年間に及ぶ建て替え総事業費は約2500億円と試算した。

 先行して建て替える検討対象はバリアフリー化されていない野庭(港南区)、洋光台(磯子区)のほか、浴室がないといった居住性能が低い瀬戸橋、六浦、瀬ケ崎(いずれも金沢区)など。

 建て替えに当たっては、近隣の公共建築物との複合化や多目的化も検討する。市は「建て替えを検討する際は住民の負担軽減にも努めたい」としている。

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