CO2有効活用の「CCU」基盤技術、JFEスチールが開発へ

 JFEスチールは、二酸化炭素(CO2)を産業的に有用な資源として活用する「CCU」の基盤技術開発に乗り出す。CO2を原料にアルコールなどの化学製品を製造する技術などを模索する。まずは今年度から2年程度かけて基礎調査を進める方針だ。スチール研究所所長の曽谷保博専務が12日、明らかにした。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトとして、エネルギー総合工学研究所、国際石油開発帝石、日立造船、地球環境産業技術研究機構(RITE)と共同で取り組む。

 CCUはカーボン・キャプチャー・アンド・ユーティライゼーションの略で、CO2を原料に有価物を製造する技術を指す。JFEは現在、国家プロジェクトの一環で高炉ガスからCO2を分離・回収する技術開発を進めている。これに加え、今回新たにCO2を原料として有効活用する技術開発に取り組み、低炭素戦略を加速したい考え。

 曽谷氏は同日、JFEの研究開発戦略も説明し、中部地区の自動車メーカー向け研究開発拠点として数年前に名古屋市にアプリケーションセンターを開設したことも明らかにした。また研究開発の重点分野では鉄鋼生産の生産性向上や省力化、品質管理を高度化する「インテリジェント製鉄所」を挙げ、実現に向けてデータサイエンスとロボティクス技術を融合し、操業ガイダンスによる自動制御や悪環境・複雑作業に対応する知能・協働ロボの開発を進める方針を示した。

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