JFEスチール、解析技術で車の設計後押し 三菱自が実車設計に採用、剛性6%アップ

 JFEスチールは12日、材料の最適な分布をコンピュータで割り出す解析技術「トポロジー最適化技術」が三菱自動車工業の実車設計に採用されたと発表した。車体の剛性を高めるのに最適な接着剤の塗布位置を決めるのに適用された。剛性向上が難しい高張力鋼板(ハイテン)をより使い易くするための技術として今後もハイテンとセットで提案していく考え。

 車体製造でスポット溶接部に用いる構造用接着剤は、塗布する位置によって車体の剛性や操縦安定性に影響を及ぼす。JFEは今回、トポロジー技術を駆使することで車全体を対象に接着剤の適用が最も有効な部位をコンピュータ計算により選定。この解析結果を活用し、三菱自動車は接着剤の使用量を極力抑えつつ車体剛性を約6%高めた。

 適用車種は「アウトランダーPHEV S Edition」、新型「エクスパンダー」、新型「エクリプスクロス」の三つ。コストや時間の制約から接着剤の塗布量を減らすことが車体設計で求められていた。

 一般的にハイテンは車体軽量化や衝突安全性向上に有効な一方、操縦安定性を左右する剛性の確保が難しくなる課題がある。JFEはトポロジー技術で車体設計の面から剛性向上を支援し、今後も鉄を最大限活用した次世代自動車の開発を後押ししたい考え。

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