2012年以降は球界を代表する選手が続出 楽天、過去10年のドラフト査定

楽天・松井祐樹【写真:荒川祐史】

2005年に新規参入、発足直後はドラフトの成果は現れず

 2005年からパ・リーグに参加した新興球団の楽天は、同時期に合併して生まれたオリックス・バファローズとの分配ドラフトで獲得した40選手から始まり、徐々に2004年ドラフト指名から“生え抜き選手”に入れ替わっていった。当初はドラフト指名した選手がなかなか成長しなかったが、近年は徐々に実績が上がりつつある。

 過去10年のドラフト実績を見ていこう。※は現時点でのNPB現役選手。

○2008年
1位・藤原紘通 投 NTT西日本・6勝8敗0S1H 防御率5.22
2位・中川大志 内 愛知・桜丘高・118試66安7本45点2盗 打率.202 DeNAへ※
3位・井坂亮平 投 住友金属鹿島・7勝12敗0S1H 防御率4.96
4位・井上雄介 投 青山学院大学・1勝1敗0S0H 防御率9.28
5位・楠城祐介 外 パナソニック・4試1安0本0点0盗 打率.111
6位・辛島航 投 飯塚高・35勝45敗0S6H 防御率3.89※
育1位・森田丈武 内 香川オリーブガイナーズ・13試6安0本4点 0盗 打率.222

 2位の中川は大型内野手として期待されたが、今季戦力外となりDeNAに移籍が決まった。6位の辛島は今季キャリアハイに並ぶ8勝を挙げた。

○2009年
1位・戸村健次 投 立教大学・17勝25敗0S1H 防御率4.23※
2位・西田哲朗 内 関西大学第一高・273試146安9本53点11盗 打率.224※今オフにソフトバンクへ移籍
3位・小関翔太 捕 東筑紫学園高・100試26安1本10点0盗 打率.149※今オフ戦力外
4位・高堀和也 投 三菱自動車岡崎・4勝0敗0S3H 防御率3.49
5位・土屋朋弘 投 シティライト岡山・1勝0敗0S0H 防御率3.60
育1位・松井宏次 内 長崎セインツ(1軍出場なし)

 1位の戸村は先発だがローテには入っていない。2位の西田は今オフに斐紹とのトレードでソフトバンクへ移籍した。

○2010年
1位・塩見貴洋 投 八戸大学・37勝44敗0S0H 防御率3.72※
2位・美馬学 投 東京ガス・41勝49敗0S5H 防御率3.71※
3位・阿部俊人 内 東北福祉大学・260試58安0本13点9盗 打率.210※
4位・榎本葵 外 九州国際大学付属高・77試9安0本2点0盗 打率.118※今オフ戦力外
5位・勧野甲輝 内 PL学園高(1軍出場なし)
育1位・加藤貴大 投 富山サンダーバーズ(1軍出場なし)
育2位・木村謙吾 投 仙台育英学園高(1軍出場なし)
育3位・川口隼人 内 滋賀・高島ベースボールクラブ(1軍出場なし)

 この年から複数の育成選手を取るようになる。1位の塩見、2位の美馬が主力級の投手に成長した。

12年2位の則本は球界を代表する先発投手に成長

○2011年
1位・武藤好貴 投 JR北海道・4勝4敗1S8H 防御率4.96※今オフ戦力外
2位・釜田佳直 投 金沢高・20勝15敗0S1H 防御率4.51※
3位・三好匠 投 九州国際大学付属高・112試47安4本18点0盗 打率.228(内野手転向)※
4位・岡島豪郎 捕 白鴎大学・543試476安20本157点32盗 打率.266※
5位・北川倫太郎 外 明徳義塾高・31試17安0本4点3盗 打率.215※今オフ自由契約公示
6位・島内宏明 外 明治大学・486試410安33本167点14盗 打率.270※
育1位・神保貴宏 外 トランシス(1軍出場なし)

 2位の釜田は先発投手だが右ひじ痛で伸び悩んでいる。3位の三好は入団後に内野へ転向。4位の岡島は捕手登録だったが外野に転向し、俊足巧打で活躍してる。6位の島内は今季中堅手としてフル出場した。

○2012年
1位・森雄大 投 東福岡高・1勝1敗0S0H 防御率5.17※
2位・則本昂大 投 三重中京大学・65勝47敗0S0H 防御率2.94※
3位・大塚尚仁 投 九州学院高・0勝0敗0S0H 防御率12.27※今オフ戦力外
4位・下妻貴寛 捕 酒田南高・13試1安0本0点 0盗 打率.100※
5位・島井寛仁 外 熊本ゴールデンラークス(1軍出場なし)※
6位・柿澤貴裕 投 神村学園高(1軍出場なし)巨人へ※
育1位・宮川将 投 大阪体育大学・5勝1敗0S1H 防御率3.13※

 2位の則本は、いまやNPBを代表するパワーピッチャーに成長。今季は8試合連続2桁奪三振というNPB新記録を樹立した。

○2013年
1位・松井裕樹 投 桐光学園高・11勝17敗96S30H 防御率2.55※
2位・内田靖人 捕 常総学院高・31試13安2本8点0盗 打率0.141※
3位・濱矢廣大 投 Honda鈴鹿・3勝0敗0S1H 防御率7.02※
4位・古川侑利 投 有田工業高・0勝2敗0S0H 防御率4.89※
5位・西宮悠介 投 横浜商科大学・8勝1敗0S3H 防御率4.14※
6位・横山貴明 投 早稲田大学・1勝4敗0S2H 防御率7.05※
7位・相原和友 投 七十七銀行・0勝0敗0S0H 防御率4.24
8位・相沢晋 投 日本製紙石巻・0勝1敗0S0H 防御率9.82
9位・今野龍太 投 岩出山高・0勝0敗0S0H 防御率11.17※

 1位の左腕・松井裕樹は、ソフトバンクのサファテに次ぐクローザーに成長。2位の内田は控え捕手となった。

○2014年
1位・安樂智大 投 済美高・5勝10敗0S0H 防御率3.50※
2位・小野郁 投 西日本短期大学附属高・0勝0敗0S0H 防御率10.18※
3位・福田将儀 外 中央大学・112試53安3本21点8盗 打率.210※
4位・ルシアノ・フェルナンド 外 白鴎大学・45試17安1本7点0盗 打率.191※
5位・入野貴大 投 徳島インディゴソックス・1勝1敗0S1H 防御率5.79※今オフ戦力外
6位・加藤正志 投 JR東日本東北・0勝0敗0S0H 防御率5.65※
7位・伊東亮大 外 日本製紙石巻・8試6安2本2点1盗 打率.273※
育1位・八百板卓丸 外 聖光学院高(1軍出場なし)※
育2位・大坂谷啓生 内 青森中央学院大学(1軍出場なし)

 1位の安樂は甲子園で活躍し、先発として期待されたが、怪我がちで本領発揮はできていない。5位の入野は戦力外となったが、育成で再契約すると見られている。

オコエは今季後半に躍動、藤平は今季終盤の先発ローテ支える

○2015年
1位・オコエ瑠偉 外 関東第一高・92試61安4本17点9盗 打率.245※
2位・吉持亮汰 内 大阪商業大学・21試5安0本1点1盗 打率.161※
3位・茂木栄五郎 内 早稲田大学・220試236安24本87点14盗 打率.287※
4位・堀内謙伍 捕 静岡高(1軍出場なし)※
5位・石橋良太 投 Honda・0勝0敗0S0H 防御率13.50※
6位・足立祐一 捕 パナソニック・122試58安2本21点0盗 打率.222※
7位・村林一輝 内 大塚高・1試1安0本0点0盗 打率.500※
育1位・出口匠 内 津田学園高(1軍出場なし)※
育2位・山田大樹 内 菰野高(1軍出場なし)※

 甲子園を沸かせたオコエ瑠偉は、今季後半は9番や1番の打順でハツラツとしたプレーを見せた。3位の茂木は1年目から正遊撃手となり、今季は長打も増えた。6位の足立は2番手捕手として頭角を現し始めた。

○2016年
1位・藤平尚真 投 横浜高・3勝4敗0S0H 防御率2.28※
2位・池田隆英 投 創価大学(1軍出場なし)※
3位・田中和基 外 立教大学・51試6安1本2点7盗 打率.111※
4位・菅原秀 投 大阪体育大学・1勝0敗0S1H 防御率5.02※
5位・森原康平 投 新日鐵住金広畑・2勝4敗0S13H 防御率4.81※
6位・鶴田圭祐 投 帝京大学準硬式野球部(一軍出場なし)※
7位・野元浩輝 投 佐世保工業高(一軍出場なし)※
8位・石原彪 捕 京都翔英高(一軍出場なし)※
9位・高梨雄平 投 JX-ENEOS・1勝0敗0S14H 防御率1.03※
10位・西口直人 投 甲賀健康医療専門学校(1軍出場なし)※
育1位・千葉耕太 投 花巻東高(1軍出場なし)※
育2位・南要輔 内 明星大学(1軍出場なし)※
育3位・向谷拓巳 内 兵庫ブルーサンダーズ(1軍出場なし)※
育4位・木村敏靖 投 履正社医療スポーツ専門学校(1軍出場なし)※

 1位の藤平は今季後半戦に先発投手として活躍。5位の森原は中継ぎ投手として、チームに貢献した。そして、9位の高梨が今季後半戦はセットアッパーとして圧倒的な投球を見せた。

○2017年
1位・近藤弘樹 投 岡山商科大学
2位・岩見雅紀 外 慶應義塾大学
3位・山崎剛 内 國學院大學
4位・渡邉佑樹 投 横浜商科大学
5位・田中耀飛 外 兵庫ブルーサンダーズ
6位・西巻賢二 内 仙台育英学園高
7位・寺岡寛治 投 石川ミリオンスターズ
育1位・井手亮太郎 投 九州産業大学
育2位・松本京志郎 内 光南高
育3位・中村和希 外 天理大学

 楽天のドラフト実績は、これまで他球団に比べて優秀とは言えなかったが、2012年以降は活きの良い選手が登場している。今は外国人打者トリオが中心だが、今後は生え抜き選手をどんどん売り出していくことだろう。

(Full-Count編集部)

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