86/BRZ:ブリヂストン 2017年第10戦富士 レースレポート

2017 TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race [Professional Series]第10戦

井口卓人が粘りの走りで4位に 佐々木雅弘は惜しくもシリーズ連覇ならず

開催場所:富士スピードウェイ
開催日:2017年12月09日(土)~12月10日(日)

 プロフェッショナルシリーズの最終戦は、土曜日に予選、日曜日に決勝レースという、クラブマンシリーズとは異なるスケジュールで開催された。この日曜日はTOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL当日であり、4万2000人もの大観衆が見つめるなかで行われた。
 
 昨年まではプロフェッショナルシリーズ、クラブマンシリーズそれぞれ上位20台を集めて混走となるエキシビジョンレースだったが、今回初めてシリーズ戦の開催となった。
 
 最終戦の注目は、やはりチャンピオン争いだろう。トップは#97近藤翼選手(YH)で、2位からの逆転を狙う#1佐々木雅弘選手(ブリヂストン)、3位の#31青木孝行選手(YH)、計算上は可能性を残している4位#369平中克幸選手(GY)がチャンピオンを狙える位置にあった。事実上は、上位3選手の争いである。
 
 そして前戦で投入されたブリヂストンの新商品、POTENZA RE-07Dのパフォーマンスにも注目が集まっていた。12月の想定以上に低い路面温度がタイヤにどう影響するのかがカギとなった。

<予選>

 最初にトップタイムを出したのは#60服部尚貴選手(DL)だったが、すぐに近藤翼選手が2分03秒263というスーパーラップを刻み、トップへ。そして、そのタイムを誰も超えることはできなかった。
 
 2位服部尚貴選手、3位#82谷口信輝選手(YH)、4位青木孝行選手、5位#88井口卓人選手(ブリヂストン)という順になった。その他のブリヂストン装着勢は、11位に#770山田英二選手、12位に#90阪口良平選手、13位に#557大西隆生選手と続いた。
 
 近藤翼選手の前でゴールすることがチャンピオン獲得の絶対条件となる佐々木雅弘選手は16位と、厳しい予選結果になった。

<決勝レース>

 スタートを決めたのは2番グリッドからスタートした服部尚貴選手で、トップに立った。しかし最終コーナーで近藤翼選手がトップを奪い返すことに成功。2周目には青木孝行選手が2位へ浮上。
 
 そして5周目、スリップストリームから抜け出した青木孝行選手が、ついにトップに立つ。3位にはスタートで後退してしまった谷口信輝選手がポジションを取り戻し、4位には井口卓人選手が続く。
 
 当初は接近していたトップ2台だったが、そのバトルの影響でタイムが上がらず、3位の谷口信輝選手が追いつく。そこから近藤翼選手と谷口信輝選手のバトルが展開されていく。

 レース前の時点で、青木孝行選手が優勝した場合の近藤翼選手のチャンピオン成立条件は2位以上で、3位の場合は青木孝行選手と同ポイントとなり、優勝していない近藤翼選手は敗退する。
 
 しかし、この時点ではファステストラップを記録しており、3位でも近藤翼選手が1ポイントリードし、チャンピオンとなる。そして近藤翼選手が2位を守り切ってゴール、今シーズンは優勝こそしていないものの、見事にチャンピオンに輝いた。
 
 青木孝行選手は今シーズン3勝目でシリーズランキング2位に。一方の佐々木雅弘選手は混戦の中を追い上げ11位となったもののシリーズは3位という結果となった。予選4番手からスタートした井口選手は、山下選手らとの見ごたえのある4位争い勝ち抜け、4位入賞を果たした。

<コメント>

プロフェッショナルシリーズで決勝レース4位を獲得した井口卓人選手(ブリヂストン)のコメント
「いろいろな選手とバトルがあったんですが、まわりを走っている選手もフェアだったので、レースはとても楽しめました。決勝レースは意外と内圧が上がっていたので、スタート前に少し落としたんですが、それが最後まで安定して走らせることができた要因のひとつだと思います」

「今シーズンはマシンが後期型になったことで、なかなか上手くレースを戦うことができなくて、表彰台にも上れなかったんですが、コツコツとポイントを重ねることができました。それが来年につながってくれると思っています」

2017 TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race [Clubman Series]第10戦

菱井將文がシリーズ3位に

開催場所:富士スピードウェイ
開催日:2017年12月09日(土)~12月09日(土)

 今シーズンを締めくくる最終戦の舞台は、今シーズン3度目の開催となる富士スピードウェイ。4月にスタートしたこのシリーズも、12月となり、ついに10戦目を迎えた。
 
 クラブマンシリーズは、第9戦鈴鹿サーキットのレースが中止となった段階で、シリーズチャンピオンは#38神谷裕幸選手(YH)に決定している。最終戦の注目のひとつは、2位以下のシリーズランキングでもあった。
 
 レース前のランキングと有効ポイントは、2位#500/600小野田貴俊選手(YH)が82ポイント、3位#771菱井將文選手(ブリヂストン)が80ポイント、4位橋本洋平選手(ブリヂストン)が76ポイントとなっている。

クラブマンシリーズ決勝Aレースで10位となった菱井將文

 
 数字の上では大接戦だが、上位5レースのポイントが有効となるため、各選手ともに表彰台に上がらなければポイントはプラスされない。エントリーは87台。6月の第3戦、9月の第7戦よりには少し届いていないが、それでも大量なエントリーには違いはない。
 
 12月ということもあって、富士スピードウェイの気温は低く、夜や明け方には氷点下になっていた。ただし昨年のように雪が降ることはなく、予選・決勝が行われた12月9日は富士山が近くに見えるほどの快晴となった。

<予選>

気温が低いということで、タイムアップすることは確実視されていた。予選開始は土曜日の朝7時45分という早いスケジュールで、まだ太陽の日差しを感じることもできなかった。ちなみにクラブマンシリーズのコースレコードは2分06秒576。

 予選1組では、1年ぶりの参戦となった#62松原亮二選手(YH)がいきなり2分05秒310をマーク。さらに松原亮二選手はタイムアタックを続け、3度目のアタックでは2分04秒720にまでタイムアップした。これはプロフェッショナルシリーズのコースレコード、2分04秒801を上回るものだ。
 
 一方の予選2組は、チャンピオンを決めた神谷裕幸選手が2分04秒907をマーク。かつてヴィッツレースで速さを競ってきた2人が2分04秒台に入れ、他の選手を寄せつけなかった。

 ブリヂストン装着勢は、路面温度が低すぎたのか全体的に苦戦を強いられた。予選1組で#75手塚祐弥選手(ブリヂストン)が6位、菱井將文選手が10位、予選2組では初参戦の#7堤優威選手(ブリヂストン)が6位、6月の第3戦で優勝した#126庄司雄磨選手(ブリヂストン)が11位となった。

<決勝レース>

 土曜日の午後、決勝Aレースが行われた。スタートで、2番グリッドの神谷裕之選手が好スタートを決め、ポールポジションの松原亮二選手を制して、トップで1コーナーへと入っていく。
 
 その後に続いていた#703花里祐弥選手(YH)と#523高橋泰裕選手(YH)が接触、2人ともそのままリタイアとなる。3番手に浮上したのは#600小野田貴俊選手で、4番手は#305水野大選手(YH)、そして12番グリッドスタートの堤優威選手が5番手にまで浮上してきた。
 
 レースは神谷裕幸選手と松原亮二選手のマッチレースとなり、8周目からペースを上げた松原亮二選手が接近したものの、オーバーテイクには至らず、神谷裕幸選手が今シーズン4勝目を上げた。
 
 3位には小野田貴俊選手が入った。ブリヂストン装着勢は、4位争いをしていた堤優威選手が、7周目にマシントラブルでリタイア。(38位完走扱い)。
 
 19番グリッドからスタートした菱井將文選手が10位、22番グリッドスタートの庄司雄磨選手が11位と、上位進出とはならなかったものの、着実に順位を上げてみせた。

<コメント>

クラブマンシリーズ決勝Aレースで10位となった#771菱井將文選手(ブリヂストン)のコメント
「19番手からスタートしたんですが、予選の時のようなタイム差はなくて、少しずつ前に出ることができました。とくにレース後半にはブリヂストンのほうがペースの落ちが少なかったですね」

「今シーズンはコンスタントにポイントを取ることができて、シリーズ3位になりました。これもブリヂストンが安定した性能を発揮し続けた結果だと思います。来年もまたチャンスがあれば、ぜひ参戦してみたいですね」

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