家庭では毎日一人約1kg近いゴミを出しています
環境省の27年度の統計によると、日本のゴミ排出量は年間で合計4398万トン。うち、家庭ごみが65%を占め、2854万トンとなっています。人口一人当たりで計算すると、毎日1人が939gのゴミを出している計算になります。
日本は狭い家に多くの家財道具を収納して暮らしているため、「片付かない」ことに悩みを抱える人が多いのもたしか。捨てればすっきり暮らせるだけでなく、気持ちのリセットもできると考えるのも、悪くはないでしょう。
ただ、そうして出たゴミはあなたの目の前からなくなるだけで、その先は焼却や埋め立て、廃棄により環境に負荷をかけるだけでなく、処理のために多くの税金が使われる現実も忘れてはならないと思います。
災害を乗り越えるためには備蓄も必要
東日本大震災では、ライフラインが途絶えてしまった被災地だけでなく、被災しなかった地域でも店頭から物が消え、必要なものが手に入らない状態が続きました。
被災地に住んでいた私の友人は、捨てられずにとっておいた毛布類や、買い込んでいた食料などにどれだけ救われたかわからない、と話します。最低限のもので暮らすという哲学は、考えようによっては「必要ならいつでも買える」環境にあってこそ、成り立つのかもしれません。
「もったいない」「捨てられない」気持ちの中には、実は大切な意味があるのではないでしょうか。不必要、無駄と思えるものも雑多に抱え込んで暮らすことにも、意義があるのではないかと私は考えています。
ですが、抱え込んでいるだけでは、暮らしは混沌としていくだけです。「捨てない」で、すっきり暮らすにはどうしたらいいのでしょう。
敢えて「捨てない」片付けの極意。まず最初は「捨てる→仕分ける」への発想転換です。その後、収納エリアを少なくして物が増えない工夫をしたのち、あふれた物を循環させていくという考え方です。
捨てない極意1:捨てずに仕分ける
空間が広く物が増えるに従い、人は片付け能力が発揮できなくなります。つまり、広い場所にたくさんの物を置いているから、片付かないのです。
すっきりさせるのは「ものを減らす」ことが一番大切なポイント。まずは捨てずに、持ち物の「仕分け」をしてみましょう。捨てなくても、「減らして置き場所を変える」だけで、格段に片付けやすくなります。
例えば食器棚なら、よく使うものだけを厳選して仕分け、それ以外のものは作業エリア外にまとめておく。それだけで、日常使いの道具は片付けやすくなりますし、食器棚の中も物が減って、気持ちもさっぱりします。
捨てずに仕分けて別の場所に置くだけ、と思えば、思い切りよく厳選することができます。お祝いごとやパーティーなど、年に数回のことなら、ダンボールの蓋をあけてお皿や道具を出すのも苦にはなりません。
捨てない極意2:収納場所のウエストマーク(適正サイズ)は小さめを意識
「捨てる」だけでは問題解決しないと私が考えるのには、次のような理由もあります。
抱え込んでいる荷物を捨てることで得られるカタルシス(浄化作用)はありますが、一度捨てても収納場所が同じだけ確保されていれば、また「買う」ことにより物は増えます。捨てる→買うの繰り返しでは、解決策とはいえません。
極意1の仕分け作業をしたら、通常使う収納エリアは思い切って小さくすることも大事なポイント。食器棚、クローゼット、食品庫が広いままでは、1年後にはまた物が増えて結局同じ繰り返しになります。
ゴムのウエストのスカートを履いていると、どんどん太ってしまうのと同じ。仕分けたあとは、小さなエリア内に入るものだけを使うと決め、安易に買い物をして物を増やさないことが大事です。
ゴミ箱も同じことが言えます。大きくすればするほど「捨ててよい」のサインとなり、ゴミは増えます。
捨てない極意3:捨てずに循環させる
仕分けだけでは解決できないほど、使わないものが多い場合は、捨てる前に「別の人に使ってもらう」選択肢をなるべく考えてみましょう。
「ただ自分のゴミを誰かに押し付けるだけじゃないのか」と思う人は、「必要と思ってくれる人の手元で第二の人生を送ってもらう」と考えてみて。「必要なければ捨てる」のではなく、「もったいない」の気持ちを大事にしながら手放す方法を考えてみることも、今の時代はとても大事なのでは。
リサイクルやオークション、フリーマーケットもいいですが、意外と手間がかかります。もっと気楽に物を循環させる方法として私が日頃から実践しているのが次の4つの方法です。
・玄関にかごを置いて不用品を入れておき、来客に自由に持ち帰ってもらう
・ガレージに「ご自由にお持ちください」と置いておく
・「もってけパーティ」を開いて不要品交換をする
・「あげくだ」サイトを利用する
ぜひみなさんも試してみてくださいね!