JFEスチール、倉敷に連鋳機増設 400億円投資、年産200万トン

 JFEスチールは14日、約400億円を投じて西日本製鉄所倉敷地区(岡山県倉敷市)に連続鋳造機を1基増設すると発表した。スラブ用の連鋳機で生産能力は年約200万トン。同地区の大きな生産ネックとなっていたスラブ連鋳機の工程能力を引き上げ、薄板や厚板の増産余力を確保する。自動車鋼板をはじめとする高級鋼のコスト競争力強化や品質向上にもつながる見込みだ。

 今年度内に着工し、2020年度下期の稼働を目指す。設備仕様の詳細は今後詰めるが、鋼片品質の向上に有効な鋳型内溶鋼流動制御技術や軽圧下装置などを採り入れた最新鋭連鋳機とする方針。倉敷地区は現在、主に連鋳機の生産能力がネックとなり、3基ある高炉の出銑能力に余力が生じている。今回の増設で連鋳機ネックが解消すれば、製銑・製鋼工程の本来の設備能力を発揮しやすくなり、一定の粗鋼増産が可能になる見込みだ。

 倉敷地区の現在の粗鋼生産量は884万トン(2016年度)。

 倉敷地区はスラブから製造する主要な板系品種として、自動車用などの熱延・冷延・表面処理鋼板や主に造船用の厚板などを生産している。スラブの増産が可能になることで各種製品の増産余力が拡大するが、状況に応じて製品ミルの能力増強が必要になる可能性もありそうだ。

 JFEは現在、18年度から3カ年の第6次中期経営計画の策定を進めている。今回の倉敷地区の連鋳機増設は、6次中計の内容を検討する中で投資効果が大きいと判断し、現行中計の中で前倒しで実行するよう機関決定した。

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