【解説】〈JFEスチール倉敷の連鋳機増設〉ネック解消、コスト競争力強化

 JFEスチールが西日本製鉄所倉敷地区(岡山県倉敷市)に連続鋳造機の増設を決めた背景には、高炉を含めた鉄源工程全体のコスト競争力を強化する狙いもありそうだ。高炉は一定の生産量を下回ると操業コストがかさみやすい。今回の連鋳機増設が完了すれば、連鋳機ネックで余力が生じている3基の高炉の増産が可能となり、最適生産による高炉操業コストの低減が可能になる。

 新連鋳機は西日本製鉄所全体のさらなる効率生産を追求するうえでもカギになりそうだ。新しい連鋳機で高級鋼向けスラブを集中生産すれば、倉敷地区では既存のスラブ連鋳機に余力が生じるため、西日本製鉄所福山地区(広島県福山市)で生産している外販用スラブなどを引き受ける余地が生まれる。結果として自動車鋼板生産で主力の福山地区のさらなる高級鋼シフトが可能になるとみられる。

 倉敷地区は今年4月に老朽化で生産効率が低下していた第2コークス炉のパドアップを終え、同地区としてコークスを全量自給できる体制を整えた。今回の連鋳機増設により、鉄源工程の競争力発揮に向けた環境がさらに整うことになる。(石川 勇吉)

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