マツダCX-8を試乗評価!予約受注が好調だが果たして買いか?

マツダの7人乗りSUV「CX-8」の発売が2017年12月14日に発売開始された。予約受注は非常に好調というCX-8を早速試乗した。内装、広さ、乗り心地は果たしてどうか?

ミニバンからの撤退を選択したマツダが仕掛けた、7人乗りSUV

今や日本市場での売れ筋はコンパクトカーと、燃費の良いハイブリッド車、そして3列シートのミニバン、SUVである。トヨタも日産もホンダも、それぞれのジャンルに人気モデルをラインナップしており、販売競争を展開中。そんな中、マツダは3列シートのミニバンから撤退することを発表した。

日本専用車種を作るとなれば開発コストを投入しなければならない。たくさん売れれば問題ないものの、マツダの販売規模だと微妙なところ。そこで考えたのがSUVのCX-5をベースに3列シート仕様を作ること。これならCX-5と共通の部品で済むし、生産ラインだって容易に確保できるというもの。

簡易シートと思うなかれ、3列目シートもキチンと座れる広さ

180cm超のガイドでも、3列目はしっかり座れる

実際、CX-8のボディ前半分はCX-5と一緒。後半だけストレッチし、3列目のシートスペースを確保した。一般的にSUVの3列目は必要最小限の居住空間しかなく、大甘の評価をしても快適にほど遠い。せいぜいお客さんを駅まで送っていくときに使える程度。簡易シートと言うべきか。

しかしCX-8は3列シートミニバンの対抗馬ということもあり、大人がキチンと座れる広さを確保しようと考えたのだろう。私は身長183cmあるけれど、運転席をベストなポジションに合わせ、そのまま2列目シートに座り前後スライドで足が当たらない場所を選ぶ。その状態で3列目に座れるのだった。

シートアレンジは多彩にできるとしている

もちろん2列目の快適性と比べたら厳しいけれど、2時間程度の移動であれば問題無い。身長170cm以下であればロングドライブにも使えると思う。参考までに書いておくと、追突された時の安全性も十分確保出来ており、日本で販売されている日本製3列シート車で1番安心して推奨出来る。

試乗して実感。FFより4WDの方が快適だった!

長い前置きになった。では試乗といきましょう。まずFFを試す。エンジンはCX-8から新しいバージョンに進化しており、出力やトルクが上がっただけでなく低回転域でのパワー感も大幅に向上している。アクセル踏めばすぐ反応し、気持ちの良い加速を堪能出来るから嬉しい。

エンジン音や振動もマイルドになっており、CX-5と比べ高級な乗り味。ただサスペンションが少しばかりゴツゴツしており、私なら「厳しい」と判断する。クルマ全体の仕上がりからすれば、乗り心地だけ負けているのだった。「やっぱり」日本車の限界か? とガッカリしながら4WDに乗り換える。

するとどうよ、ずいぶん違う。カドが取れた輸入車のような乗り心地で、快適至極。なぜFFと4WDでこんなに質感が違うのか不思議ながらも、自分で買うなら瞬時に迷うことなく4WDにする。普通、FFより4WDの方が乗り心地も騒音も不利なのに、CX-8に限って言えば反対。

3列目シートを使う機会があるなら、魅力的な選択肢である

さて。CX-8は買いだろうか? 親子3世代で移動する機会があるなら、なかなか魅力的なチョイスだと思う。クルマ好きからすれば、出来れば背の高いミニバンをファーストカーにしたくない。私も3列シートのミニバンを持っているけれど、普段はアウトランダーPHEVというSUVに乗っている。

CX-8、生産ラインの様子

実はCX-8、私の次期マイカー候補になっているのだった。マイナスポイントは数年後のリセールバリュー。高額車になるとマツダのブランドイメージは少しばかり厳しい気がする。加えて”華”がない。この2点さえ気にならないという人なら、CX-8の4WDは良いチョイスだと思う。

(文:国沢 光宏)

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