即興劇で悲しみ共感 思いやりの心育む教室

 演劇を通して思いやりの心を育む授業が14日、横須賀市立北下浦小学校(同市長沢)で行われた。「劇団プレイバッカーズ」(横浜市港南区)の劇団員が子どもたちの語る悲しかった思い出を聞き、即興劇を披露。同校4年生約60人が鑑賞し、同級生の心の痛みに思いを巡らせた。

 同劇団は、観客にその場で個人的な体験を聞き、インタビューに基づいて台本なしで劇をする活動を各地で実施。今回は、いじめ防止をテーマに行われた。

 「見た目でからかわれたことがあるか」「誰かが嫌なことをされているのを見たことがあるか」などを少人数で話し合い、その後、悲しかった思い出を共有したい子どもたちが内容を発表した。

 「幼稚園のときに階段で押されてけがをした」「登校中に仲間外れにされた」などと話すと、司会役の劇団員が「どんな気持ちだったのか」「誰か助けてくれたか」などと質問。子どもたちがぽつりぽつりと胸の内を明かした。

 劇団員は当時の心境を表現した曲を即興で演奏しながら「頭にくるんだよ」「やめてほしい」などと心の声を発し、体験談を再現した劇を披露。子どもたちは熱のこもった演技に見入って「自分が前にされたことと重なった」と振り返り、中でも経験を発表した子どもたちは「話せてすっきりした」とすがすがしい表情を見せていた。

 同劇団による教室は15日も実施。同級生が嫌なことをされているシーンで子どもたちが実際に止めに入る即興劇も行う予定で、同劇団は「いじめの傍観者をなくすのを目標にしたい」と話している。

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