【MLB】大谷獲得のエンゼルスが今オフ“勝ち組”1位 米敏腕記者が勝者と敗者を格付け

エンゼルスへの入団が決まった大谷翔平【写真:Getty Images】

エンゼルスが「最大の勝者」、大谷は「世紀のお買い得選手」「ミッキーマウスに次ぐ注目」

 MLBのウィンターミーティングは14日(日本時間15日)に終了し、ストーブリーグは本格的にヒートアップしている。米メディアでは今オフここまでの勝者と敗者を格付け。壮絶な争奪戦の末に大谷翔平投手の獲得に成功したエンゼルスはナンバーワンの勝者に君臨している。二刀流の新鋭については、ディズニーランドでも有名なアナハイムで「ミッキーマウスに次ぐ注目度」と、世界的な人気キャラクターに次ぐスーパースターと評価されている。

「この冬、ここまでの勝者と敗者」と特集したのは米スポーツ専門メディア「ファンラグスポーツ」電子版。敏腕記者のジョン・ヘイマン氏がここまで順調な補強に成功した球団や大型契約を手にした選手を格付けしている。

 勝者の栄えある1位はエンゼルスが選出されている。その最大の理由は大谷の獲得にあるという。靭帯負傷の予防策としてPRP(多血小板血漿)注射を行った右肘の話題に触れつつも、「彼は依然として世紀のお買い得選手にランクインする。2億ドル(約225億1400万円)の選手がわずか11パーセントの費用でやってきたのだから」と高く評価。新労使協定の元では25歳未満の海外選手の契約が制限されるため、大谷もその対象となったが、本来ならは総額2億ドル規模の契約に値するとの評価をされていた。

 そして、今後、大きな成長の余地を残す若武者について、「彼は先発ローテーションの1番手候補であり、アナハイムでミッキーに次ぐ最大の注目を集めるだろう」と指摘。世界的なアイドルのミッキーマウスに次ぐほど大谷人気は上昇中で「おそらく球界最高の選手、マイク・トラウトを凌ぐほどだろう」と、26歳にしてMVP受賞2度を誇るスーパースター以上の注目を浴びることになると分析している。

巨人からカージナルス移籍のマイコラスもランクイン

 最大の目玉となった大谷以外にも、ジャスティン・アップトン外野手と再契約し、ブレーブスからトッププロスペクトのケビン・マイタン内野手、タイガースから強打の二塁手イアン・キンズラーをトレードで獲得。レッズからFAとなっていたザック・コザート内野手も補強した。エンゼルスは現時点で、今オフ最大の勝ち組となっている。

 2位はマーリンズからヤンキース移籍を勝ち取った今季のナ・リーグMVP&本塁打王ジャンカルロ・スタントン外野手。ジャイアンツ、カージナルスというマーリンズにとっては魅力的なトレード材料を提示した2球団への移籍も浮上したが、トレード拒否条項があったため破談に。マーリンズからの強硬なトレード要請を「ブラフ」と一蹴し、希望の移籍を実現したことに記事では触れている。

 3位はスタントン獲得という一大補強に成功したヤンキースがランクイン。そして、4位にはカージナルスからアスレチックスに移籍したスティーブン・ピスコッティ外野手が選ばれた。ALSという難病に苦しむ母親グレッチェンさんのために、セントルイスから実家に近いオークランド移籍という願いを叶えた。トレードを実現させた両球団への評価も高まっている。

 5位はマーリンズからトレードでマルセル・オズナ外野手を獲得したカージナルス。また、イチロー外野手の移籍先候補に浮上しているパドレスは、ヤンキースとのトレードでブライアン・ミッチェル投手と三塁手のチェース・ヘドリー内野手を獲得し、ロイヤルズからFAとなったエリック・ホズマー内野手補強の機運の高まりから8位にランクインした。

 その他、21位にダルビッシュ有投手獲得に全力を尽くすツインズが選ばれた一方で、巨人から2年1550万ドル(約17億4500万円)の総年俸でカージナルスに移籍したマイルズ・マイコラス投手も24位に選出。まだ去就は決着していないが、ドジャースからFAとなったダルビッシュ有投手は、カブスから同じくFAとなっらジェイク・アリエッタ投手とともに勝ち組の中では最下位の26位と27位に滑り込んでいる。

 ヘイマン氏は「2、3の移籍先候補が浮上し始めている。中継ぎ陣が大型契約を手にしている事実を考えれば、二大エースはどんな契約をゲットするのか?」と、未だに新天地が決まらないFA市場の先発投手コンビについて言及している。

敗者1位はマーリンズ、大谷獲得失敗のマリナーズも…

 勝者がいれば、敗者もいる。負け組ナンバーワンは球団史上3度目のファイヤーセール中のマーリンズが不名誉な選出を果たしている。経費削減に全力を注ぐデレク・ジーター新オーナーら経営陣はスタントン、オズナ、ディー・ゴードン内野手をトレードで放出。イチローの契約オプションも行使しなかった。ヘイマン記者は「リセットは必要かもしれないが、新オーナーは単なる資金不足に見えてしまうという結論に達した。PR面から見ればかなり苦しい船出だ」と厳しく指摘している。

 2位は大谷争奪戦で一時本命視されていたマリナーズが悲しみのランクイン。ただ、移籍市場で積極的な動きを見せるジェリー・ディポトGMについては、16年連続プレーオフ進出を逃している不振を打開するために、さらなる補強に出ると予想。「ダルビッシュは理にかなっている」と、先発ローテーション強化のためにFA市場の目玉である日本人右腕獲得の可能性を指摘している。

 3位はスタントン、大谷の争奪戦に敗れたジャイアンツ。4位はマーリンズのクリスチャン・イエリッチ外野手。ファイヤーセールで主力が続々離脱し、最強外野トリオは解体。残留の可能性が浮上している現状に、イエリッチは「苛立ちを募らせている」という。一方で、球団側は残留に関してイエリッチ本人の意向を尋ねる予定だともされているが、すでにドジャース、ダイヤモンドバックス、フィリーズ、ブレーブス、カージナルスが獲得を狙っているという。

 18位には、韓国国内での飲酒運転と交通事故で、米国入国が許されていない元パイレーツの姜正浩内野手も不名誉なランクインとなった。

 ここまではエンゼルスの動きが目立つオフの移籍市場。ただ、この先もあっと驚く移籍、大型契約が成立する可能性も十分にあるだけに、目が離せない。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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