磨棒鋼流通の大博鋼業、九伸販売を統合 福岡営業所を移転、九州エリアの営業強化

 磨棒鋼流通最大手の大博鋼業(本社・大阪市西区、社長・山口毅氏)は2018年2月1日付で、同業者の九伸販売(本社・福岡県)を統合する。それに伴い、約4億円かけて福岡営業所を18年5月に統合移転し、九州エリアの営業を強化する。

 九伸販売の前身は磨棒鋼メーカーの九州機械伸鉄で、大博鋼業とは25年以上の取引がある。その後、16年1月に社名を九伸販売に変更し、磨棒鋼の流通として福岡県を中心に九州地区への販売網を確保した。同社の前期売上高は約3億円。両社は九州地区における今後の磨棒鋼の需要動向などを考慮し、今回の統合に至った。

 大博鋼業の山口社長は「九伸販売の人材や機材などを含めて当社の新しい福岡営業所に統合移転し、相乗効果を図って初年度売上高10億円を目指す」と話す。現在、大博鋼業の福岡営業所と九伸販売は異なる場所に立地。統合移転するにあたって、大博鋼業は先月19日に地鎮祭を開催し、工事をスタートさせた。

 移転後の福岡営業所は、福岡県糟屋郡須恵町に位置する。敷地面積は、旧福岡営業所の4・5倍に相当する約2700平方メートル。従業員は、九伸販売の全従業員(7人)を吸収するため19人となる。また、切断加工機を旧福岡営業所から2台、九伸販売から1台移管するだけでなく、ユーザーのニーズに対応するため新たに高機能切断機を2台導入する。そのほか、2・8トンクレーン機や配送トラックなどを配備し、300トンほど在庫可能な倉庫も設置する。「配送面などの有利性を生かした営業を展開し、安定供給を売りに、新規ユーザーを獲得する」(同)方針だ。

 九州地区の磨棒鋼需要は、大型建機や自動車向けなどが少なく、中部など他地域に比べると引き合いは乏しい。その中で、九伸販売を統合して営業人数を増やす大博鋼業は自動車向けだけでなく、中小規模の物流倉庫向けの搬送ローラーや省力化ロボット向けなどへも九州地区全域に拡販する考えだ。

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