2018年のヨーロピアンF3“ラストイヤー”は20台超の可能性。日本勢は佐藤万璃音のみ?

 2017シーズンのFIAヨーロピアンF3選手権は、ふたりの日本人ドライバー(牧野任祐、佐藤万璃音)が顔を見せたほか、マクラーレン育成ドライバーのランド・ノリスやミハエル・シューマッハーの息子ミック・シューマッハーの参加、ネルソン・ピケの息子ペドロ・ピケの参加、さらには“F3世界一決定戦”と称されるマカオGPが日本でも生中継されたとあって、久しぶりにそれなりの注目を浴びたと言える。

 ただし、第64回マカオGPのF3レースは史上最低の台数(参加22台、出走21台)に留まり、2019シーズンに実施されるF3の世界的な大再編のひとつ、ヨーロピアンF3とGP3との事実上の統合を控え、選手権最終戦を迎える2018シーズンのヨーロピアンF3はいったい何台の参加を集められるのかと危惧されていた。

 事実、ヨーロピアンF3勢が主力を成すはずの第64回マカオGPのF3レースの台数が少なかったのは、それまで常連だったミュッケやダブルR、フォーテック、Tスポーツというチームの姿がなかっただけでなく、直前になってハイテックGPがドタキャンしたのも原因のひとつ。

 同チームの資金源はドライバーのニキータ・マゼピン頼りで、彼がGP3へ転向するならハイテックGPは2018シーズンのヨーロピアンF3参戦を断念すると見られていた。

 しかし、スペインのヘレスやバルセロナ、ポルトガルのポルティマオなどイベリア半島で12月に実施されたテスト情報、実際に筆者が足を運んだ12月11~12日、14~15日のバルセロナのテストを見る限り、ハイテックGPやファン・アメルスフールト・レーシング(VAR)が参加すれば、控えめに見ても2017シーズンと同等、多く見積もれば20台超のエントリーを集めそうな雰囲気である。

 下記の2018シーズンヨーロピアンF3の予想エントリー表は、すでにチーム/ドライバーから発表された公式情報と、12月にイベリア半島で実施されたテストに参加したチーム/ドライバーの顔ぶれなどで作成したものだ。

 見慣れた名前、首を傾げる名前、なるほどと納得する名前が存在すると思う。なお、残念ながら日本人ドライバーの名前は佐藤万璃音ひとりしかなさそうだ。

ミック・シューマッハーは新車をドライブ。プレマパワーの2018シーズンは5台体制となる
プレマパワーにそしてフェラーリ育成ドライバーに抜擢されたシュワルツマンはダークホース!

 プレマパワーは周冠宇、ロベルト・シュワルツマン、マーカス・アームストロングと3人のフェラーリ育成ドライバーを抱える模様だ。ミック・シューマッハーは同チームで2年目、ラルフ・アロンは2015シーズン以来のプレマパワー復帰である。

モトパークは5台のクルマを用意し、2018シーズンに参加予定の6人が精力的に走り込んだ
第64回マカオGPのF3レースで優勝したティクトゥム。来季のFIA-F3ユーロを席巻する?

 モトパークはレッドブル育成ドライバーのダニエル・ティクトゥムをエースに据える。脇を固めるのは同チームで2年目の佐藤万璃音、いずれもルーキーのユーリ・ビップス、セバスチャン・フェルナンデス、ファビオ・シエレ、ジョナサン・アバディーンといった6台体制の大所帯となる。

 2017シーズンにチャンピオン・ドライバーを輩出したカーリンは、フェルディナンド・ハプスブルクを軸に、VARからの移籍となるペドロ・ピケ、同チームで2年目のジェハン・ダルバラ、サッシャ・フェルナンデス、デブリン・デフランチェスコ、ニキータ・トライツキーを起用すると見られる。

 ヨーロピアンF3からの撤退が予想されたハイテックGPもすでにエナム・アーメドの起用を発表しており、同じく先行きが不透明なVARもイベリア半島のテストには参加して複数のドライバーを走らせた。

4日間のうち1セッションの結果とはいえプレマ5台の中でシュワルツマンがトップタイム

 このあとヨーロピアンF3のテストはロックアップ期間に入り、3月末に実施されるハンガリー・ハンガロリンクとオーストリア・レッドブルリンクの公式合同テストで2018シーズンはいよいよ幕を開ける。2018シーズンのヨーロピアンF3の“答え合わせ”を見るまで、あと3カ月は待つ必要がありそうだ。

2018 FIAヨーロピアンF3選手権 予想エントリー(2017年12月16日時点)

◎=発表済 ○=候補

■prema/プレマ(5台)

◎Marcus Armstrong/マーカス・アームストロング
◎Robert Shwartzman/ロベルト・シュワルツマン
○Guanyu Zhou/周冠宇
○Mick Schumacher/ミック・シューマッハー
○Ralf Aron/ラルフ・アーロン

■motopark/モトパーク(6台)

◎Daniel Ticktum/ダニエル・ティクトゥム
◎Fabio Schere/ファビオ・シエレ
○Marino Sato/佐藤万璃音
○Jüri Vips/ユーリ・ビップス
○Sebastián Fernández/セバスチャン・フェルナンデス
○Jonathan Aberdein/ジョナサン・アバディーン

■carlin/カーリン(5~6台)

◎Devlin DeFrancesco/デブリン・デフランチェスコ
○Ferdinand Habsburg/フェルディナンド・ハプスブルク
○Jehan Daruvala/ジェハン・ダルバラ
○Pedro Piquet/ペドロ・ピケ
○Sacha Fenestraz/サッシャ・フェルナンデス
○Nikita Troitskiy/ニキータ・トライツキー

■hitech/ハイテック(3~4台)

◎Enaam Ahmed/エナム・アーメド
○Alex Palou Montalbo/アレックス・パロウ・モンタルボ
○Ben Hingeley/ベン・ヒンジェリー
○Harrison Scott/ハリソン・スコット

■var/ファン・アメルスフールト・レーシング(3~4台)

○Keyvan Andres Soori/ケイバン・アンドレアス・スーリ
○Joey Mawson/ジョリー・モーソン
○Harrison Newey/ハリソン・ニューウェイ

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