JR東山北駅前に広場設置 利便性高め人口増期待

 駅周辺の利便性を高めて町内への移住や定住につなげようと、神奈川県山北町がJR御殿場線の東山北駅(同町向原)前の整備を進めている。2020年度末までにロータリーなどを備えた広場を設置する。同駅を中心とする東山北地域は近年企業が進出し、人口増加の余地があると見込まれており、町は地域の活性化に結び付けたい考えだ。

 広場の設置は、東山北地区の人口を千人増やすことを目指し、11年3月に策定された「東山北1000まちづくり基本計画」の一つ。ロータリーなど一部で着工していたが、地権者との交渉が済み、今後は広場の整備に取り組む。今月の町議会本会議では活用のルールなどを定めた広場設置条例案も可決された。

 町定住対策課によると、同駅の近くを通る町道は幅員約4メートルと車の対面通行が困難で、転回場も付近にはない。駅周辺の環境に対しては以前から「使い勝手がよくない」との声が地域住民らに根強かった。

 加えて、基本計画の一つで、住民から要望の多かった商業施設の誘致については、14年にスーパーなどがオープン。東山北地域には精密機械開発会社などの企業も進出しており、移住や定住のチャンスとみていた町にとって駅前の整備は、優先度の高い事業だったという。

 一連の事業で、ロータリーの舗装と町道を幅員約6・5メートルに拡幅する工事に関しては、ことし8月にスタート。県の補助金も含めた事業費約2280万円を投じ、17年度末までに供用開始する。

 待合スペースとコミュニティスペースも備える広場については、駅前の約400平方メートルに整備。今後詳細を詰めるため事業費は未定だが、20年度内の完成を目指している。

 町の人口は、1万7千人を超えていた1945年をピークに減少を続け、現在1万596人(12月1日現在)。一方、JR東海によると、同駅の昨年度の1日平均乗降客数は約1600人で、ここ数年横ばいを続けているという。

 町は、同駅の利用者が増えることで商店出店や住宅開発につながり、さらには同駅が地区の玄関口となることも期待する。町定住対策課は「人口減に少しでも歯止めをかけたい」と話している。

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