ぷっくりと大きなハマグリに、淡いピンク色のしっとりとした鶏肉、鮮やかなネギの間から見えるしなかやな麺、それを覆うのはキラリと輝く黄金の出汁……。
お昼には毎日行列ができる、築地市場の鶏専門の名店・鳥籐の『よるのとりそば』。
……ん?……よる?
築地市場と言えば、新鮮な魚介を使った豪快な海鮮丼やお寿司・定食のお店から、場内で働く人が訪れる洋食屋や喫茶店までさまざまなお店がありますが、早朝から営業をはじめお昼すぎには閉まるところがほとんど。「鳥籐」もご多聞にもれずそんなお店のはず……。「よる」とは一体どういうことなのでしょう?
その秘密は、昨年11月築地市場場外にオープンした新名所「築地魚河岸(つきじうおがし)」にあります。
「築地魚河岸」は、築地市場移転後も築地の活気とにぎわいを将来に向けて継承するために中央区により設置された施設で、仲卸が経営母体の鮮魚・青果などの小売り店約60軒が入居しています。
(参考:http://www.tsukiji.or.jp/forbiz/uogashi/)
その3階がフードコート「魚河岸食堂」。「なんだ、フードコートか」と侮ることなかれ。築地の新鮮な海鮮が楽しめる「魚河岸 海鮮」はもちろん、とんかつ・定食の「小田保(おだやす)」、半熟卵入りクリームシチューの「センリ軒」、そして鳥めしの「鳥籐(とりとう)」……市場内の名だたる3名店をも軒を連ねる魅惑のスポットなのです。
その魚河岸食堂が、これまでの昼営業(7:00~14:00または15:00)に加え、2017年秋からついに夜営業をスタートしました。
【最新!築地事情】築地の新しい楽しみ方はヨル築地
実は、魚河岸食堂に並ぶ4店のうち「小田保」と「魚河岸海鮮」は、2017年9月1日からひっそりと夜営業をスタートしています。そして満を持して「鳥籐」もいよいよ11月1日から夜の営業を始めたとの情報を入手!新しい東京・築地の楽しみ方をお伝えすべく、編集部員3人で"取材"という名目のもと、プチ女子会を開催してきました。
「築地魚河岸」へは築地駅から歩いて10分程度で到着します。魚河岸食堂は3階です。
夜の築地市場って来たことありますか?何度も築地市場に遊びに来たことのある東京在住の我々3人ですら、実はみんなはじめて。
お店の名前が書かれた灯篭が灯され、朝やお昼の活気づいた築地とはひと味もふた味も違った雰囲気でなんだかとっても新鮮です。
フードコートと言えど、それぞれのお店に合わせてテーブルセット等はしっかりと整えられ、ショッピングセンターのそれとは一線を画しています。おぉ、小田保も鳥籐も営業中!18:30という時間なのに、本当に市場内の味が楽しめるようです。
■ここでしか楽しめない限定メニューがズラリ「鳥めし 鳥籐」
小田保の冬の名物・牡蠣フライ、夜限定・白子の天ぷらや牛スジ煮込みの文字に惹かれつつ……今回は11月1日(水)から夜営業をスタートしたばかりの「鳥めし 鳥籐」にお邪魔することに。どんなメニューがあるのか、何せオープンしたばかりで前情報が何もなかったのでワクワクです。
鳥籐の夜メニューはこんな感じ。本店・分店で食べられるお昼のメニューとはまったく異なる、多彩なラインナップに気分はますます高まります。
サラダをはじめ、おつまみメニューがとっても充実。鶏専門店らしく、ぼんじり・砂肝・白レバーなど、さまざまな部位を使った鶏料理が並び、フードコートとは思えないラインナップ。
シンプルな「とり焼き」・唐揚げなどの定番どころをおさえつつ、一風変わったアレンジ料理も揃っています。
鳥籐は場内店・分店を合わせても夜営業自体ははじめて。つまりこれらは「築地魚河岸店の夜限定メニュー」であるだけでなく、ここで・この時間帯にしか食べられない初登場のものばかり。
お、はじっこに……さきほどの気になる「そば」もチラリと見えてますね。
ちなみに、全てのメニューがとりスープ付きの「ごはんセット」にできるんですって。
お酒を飲まない方やお子様のいるご家族連れにはとっても嬉しいスタイル。と、言いつつチイキイロ編集部は迷うことなく、お酒をいただきます。
お酒のアテにチョイスしたのは「鳥籐 魚河岸食堂店」鈴木さんおすすめの"とり"あえずなひと品。他ではあまり見ない、オリジナルメニュー。
「とり納豆」。
一見蒸し鶏かと思いきや、なんと、しっとりとした鶏のタタキでした。とってもやわらかくジューシー、これはちょっとしたサプライズ!大粒の納豆とウズラのたまごとともに、豪快に混ぜていただきます。
パリッと焼かれた大きな鶏皮が入った「とりとうのサラダ」。
世界各国の味が楽しめるアレンジ鶏料理からは日本の地域を応援するチイキイロ編集部らしく、ここはやはり岐阜のご当地グルメ「鶏ちゃん」をチョイス。
弾力があるのにやわらかい鶏もも肉、キャベツと長ネギににんにくがきいた甘辛い味噌ダレ。さきほど見かけた「ごはんセット」があたまをよぎります。。。が、ビールがあれば問題なし!(笑)
2杯目に突入しながら、大きな「もも とり焼き しお」を堪能。
朝さばいたばかりの新鮮な銘柄鶏を夜まで寝かしフライパンとオーブンで焼き上げたお肉は、自らの肉汁と脂をまとってツヤツヤと輝いてとにかくジューシー。お好みでレモンを絞っていただきましょう。
フードコートという気軽なスタイルでありながらも、さすがは築地で長年続く鶏卸専門店。味は確かです。
■築地 鶏卸専門店「鳥籐」とは
それもそのはず、鳥籐の創業は明治40年。100年を超える老舗鶏卸専門店です。
ぷりっぷりの鶏肉と、とろとろのたまごがのった「親子丼(しお・たれ)」や、香ばしいてりやき・そぼろ・ぼんじりやレバーがのった鶏づくしの「鳥めし」……自社で運営する「鳥めし鳥籐」には多くのお客さんがそのおいしさを求めて連日行列を作ります。また、取引先は洋食の「たいめいけん」やおでんの「お多幸」など数々の名店におよび、有名料理人からもお墨付きを得ているまさに鶏肉のプロ。
「移転後も"築地"という文化と活気をこの場所に残したい」と、さまざまなメニューや形態にチャレンジし続けている鳥籐。分店では以前から、キーマカレーやシンガポール風チキンライスなど幅広いメニューを展開し、今ではすっかり看板メニューになっています。そしてさらなる挑戦の場が、この築地魚河岸食堂なのです。
さてさて、おいしい鶏料理に舌鼓を打っている間に、時はどんどん過ぎ……、ラストオーダーのお時間。
……シメはもちろん……お待ちかね「よるのとりそば」。
ちなみにこの「とりそば」自体、そもそも鳥籐の場内店・分店でも通常は提供されていないメニュー。いただけるのは魚河岸食堂店のお昼の営業時間と、分店で月に1日だけ開催される「月イチ 限定"とりそば"」の日のみなんです。
魚河岸食堂店の「とりそば」の夜バージョンはなんと豪華なハマグリ入り!あっさりとしながらも鶏と貝の旨みがつまったスープに、少しコシのある細麺。麺もスープもスルスルとすすみ、お酒のシメには最高のひと品。
朝・昼には団体や家族ではなかなか訪れられないカウンターのみの人気行列店の味が、並ぶことなく、広々とした空間でゆったりいただけるのは"ヨル築地"ならでは。夜限定メニューを楽しむも良し、昼の人気メニュー「親子丼」をのんびり堪能するも良し、築地の楽しみ方はますます広がっています。
あらたな築地の楽しみ方「ヨル築地」
留まることを知らない、築地市場の熱気。朝・昼だけじゃない、最新の築地の楽しみは夜にあり。あらたな築地の魅力を堪能するなら、築地魚河岸「魚河岸食堂」へ!
■築地魚河岸 魚河岸食堂■
築地市場 場外市場
(小田原橋棟:中央区築地6-26-1)
(海幸橋棟 :中央区築地6-27-1)
http://www.tsukiji.or.jp/forbiz/uogashi/
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