【MLB】“崩壊”危機マーリンズ、ジーター氏はトレード志願の主力と話し合う予定なし

マーリンズの新オーナーに就任したデレク・ジーター氏【写真:Getty Images】

不満の声噴出も…イエリッチ、リアルミュートとは話し合わない考えを明かす

 主力を大量放出し、チーム再建を進めているマーリンズ。しかし、デレク・ジーター新オーナーらによる“改革”は賛否両論を呼んでおり、選手やファンからも不満の声が上がり始めている。立て直しの柱になると見られていたJ・T・リアルミュート捕手がトレードを志願し、クリスチャン・イエリッチ外野手も球団側との話し合いを望んでいるが、最高経営責任者(CEO)のジーター氏は両者との面談に“出馬”しないと表明しているという。

 マーリンズは今オフ、今季盗塁王のディー・ゴードン内野手をマリナーズ、本塁打王&打点王の2冠でMVPに選出されたジャンカルロ・スタントン外野手をヤンキース、そして打率.312&37本塁打&124打点とキャリア最高の成績をマークしたマルセル・オズナ外野手をカージナルスに、それぞれトレードで放出。さらに、4番手外野手としてチームを支え、若手のお手本としても絶大な信頼を集めていたイチロー外野手の2018年契約オプションも行使しなかった。

 主力を放出して総年俸を削減し、有望な若手を中心にチームを立て直す。これはメジャーリーグにおいて球団再建の“常套手段”だが、放出された選手が人気者であったこと、働き盛りの年齢であること、しかも代わりに獲得した若手選手の質がそれほど良くないこと、などから不満が噴出。残されたリアルミュートやイエリッチが不信感をつのらせていると米メディアは報じ、再建のはずが“崩壊”危機の状態となっている。

 また、19日夜(日本時間20日)にマーリンズパークで行われた年間チケット保有者との公開討論会では、出席したジーター氏に対して、ファンから厳しい声が続出。スタントンやイチローの退団に涙ぐむ女性もいたと報じられている。そして、その場でのジーター氏の発言が、ここにきて話題となっている。

スタントンとも面談はせず「ジーターにとって珍しいことではない」

 米メディア「ザ・スコア」は「失望するマーリンズの選手とジーターが話し合う計画はない」とのタイトルでレポート。地元紙「マイアミ・ヘラルド」の「ジーターは、チームの方向性をよく思っていないクリスチャン・イエリッチ外野手、J・T・リアルミュート捕手と話をする予定はないと話した。この2人と面談する役割を担うのかと聞かれ、否定した」との報道を紹介している。また、ジーター氏が現役時代にプレーしたヤンキースの宿敵レッドソックスの地元ボストンのTV局「NESN」(電子版)も「デレク・ジーターは不満を抱いているマーリンズのプレーヤーと話す予定はない」とのタイトルで報じた。

 マーリンズの強化責任者はマイケル・ヒル氏であり、ジーター氏はオーナーサイドの人間。選手との話し合いに参加する必要はないとの考えもあるようだ。「NESN」は「これはジーターにとっては珍しいことではない。彼はスタントンともコミュニケーションを取ることなく、チームを引き継いですぐさまこのスラッガーをトレードに出したと述べた」と指摘。チームの「顔」であったスタントンを放出すると決断したときにも、本人と話し合うことはなかったという。一方、イチローに契約延長オプションを行使しない考えを伝えたときには、元チームメートのジーター氏は同席していたとヒル氏は明かしている。

 球団側は、イエリッチとリアルミュートを中心に据えてチームを再建するプランだっただけに、トレード志願の声が上がったことは“誤算”とも言える。元スーパースターの影響力は絶大と見られるが、現場サイドに顔を出すことはしないというのがジーター氏のスタンスなのか。今、その手腕をファンやメディアは見定めている。

(Full-Count編集部)

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