被爆体験者、再び提訴へ 第1陣原告団 手帳交付求め

 被爆体験者388人が国と県、長崎市に被爆者健康手帳の交付などを求めた第1陣訴訟の原告団は21日、同市内で集会を開き、うち387人の敗訴が確定した最高裁判決を踏まえ対応を協議。手帳交付を求めて、再び裁判を起こす方針を確認した。

 被爆体験者は国が定める地域の外で長崎原爆に遭ったため、被爆者と認められていない。岩永千代子団長は取材に「原告は高齢。それぞれの事情もあり、提訴するのは希望者だけになる。50人残ればいい方ではないか」との見方を示した。今後1人ずつ意向を確認。改めて手帳交付を申請し、却下されれば不服として提訴するという。

 集会で岩永団長は「私たちが被爆者だという真実を訴え続けたい」と呼び掛けた。約40人の参加者からは「あきらめたくない」との声の一方、「これまで10年間、裁判で争って負けたのに、今後勝てる見込みはあるのか」と不安も聞かれた。

 最高裁判決は、原告側の全面敗訴だった福岡高裁判決を支持。原告1人については、原爆投下から2週間以内に爆心地の2キロ圏に入った「入市被爆」の可能性があるとして審理を長崎地裁へ差し戻した。

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