【神鋼の品質データ書き換え】外部調査委の報告、来年2月末に延期 自主点検に時間

アルミ・銅事業部門担当執行役員3人、不適切行為認識

 神戸製鋼所は21日、品質データ書き換えなど一連の不適切行為に関し、原因究明などを進めている外部調査委員会の調査完了が来年2月末になると発表した。当初は年内をめどに完了するとしていた。一方、複数の製品でデータ書き換えが発覚したアルミ・銅事業部門の執行役員3人が不適切行為の一部を認識していたとし、この3人を担当から外す人事も発表した。

 担当業務を外れるのは、藤井拓己、磯野誠昭両常務執行役員と平田誠二執行役員。同日会見した梅原尚人副社長は「今回の人事は処分という性格ではない。処分は外部調査委の報告を踏まえて判断する」と説明した。両常務執行役員は工場長として、平田執行役員は特定事業部の責任者として、不正事案を把握していたという。

 外部調査委員会は同日、神鋼に対し、十分な検証を行うにはさらに時間が必要と報告した。神鋼は現在、国内79拠点を対象に自主点検を実施。外部調査委はうち約7割の拠点で点検の手続きが不十分と判断した。点検作業の見直しなどによって自主点検の完了時期が2月上旬にずれ込むため、外部調査委の報告も同月末となる。

 社内通報などの受け皿となるホットライン窓口に複数の案件が寄せられており、外部調査委がそのうちの一部について慎重な調査が必要な案件があると判断したことも調査を延長する理由としている。

アルミ・銅事業担当常務に松原コベルコ鋼管社長

 神戸製鋼所は21日、品質データ改ざんなどの不適切行為を受け、アルミ・銅事業部門の鋳鍛事業、押出事業を担当する常務執行役員にコベルコ鋼管の松原弘明社長を充てる人事を発表した。藤井拓己常務執行役員の後任となる。コベルコ鋼管の後任の社長には堺鋼板工業の大西隆志社長が就き、堺鋼板工業の後任社長には神戸製鋼所の近藤薫名古屋支社長が就く。就任はいずれも同日付。

人事異動(カッコ内は旧職)

神戸製鋼所(12月21日付)

 【役員委嘱業務一部変更】

 ▽アルミ・銅事業部門長付(アルミ・銅事業部門鋳鍛事業、押出事業の担当、同環境防災、安全管理全般の担当)常務執行役員藤井拓己

 ▽アルミ・銅事業部門長付(アルミ・銅事業部門技術部の担当、同アルミ板事業の担当)常務執行役員磯野誠昭

 ▽アルミ・銅事業部門長付(アルミ・銅事業部門企画管理部、原料部の担当、同銅板事業の担当、同アルミ板事業について担当役員を支援)執行役員平田誠二

 ▽アルミ・銅事業部門副事業部門長、同アルミ板事業、銅板事業の担当(鉄鋼事業部門営業総括部、資材部の担当、同営業全般の担当)専務執行役員宮下幸正

 ▽鉄鋼事業部門営業総括部、薄板営業部の担当、同薄板分野海外拠点の担当、同営業全般の担当(鉄鋼事業部門薄板営業部の担当、同薄板分野海外拠点の担当)常務執行役員岡欣彦

 ▽鉄鋼事業部門企画管理部、原料部、資材部の担当(鉄鋼事業部門企画管理部、原料部の担当)執行役員永良哉

 【執行役員就任および業務委嘱】

 ▽アルミ・銅事業部門鋳鍛事業、押出事業の担当(コベルコ鋼管代表取締役社長)常務執行役員松原弘明

 【関係会社社長】

 ▽コベルコ鋼管=大西隆志堺鋼板工業代表取締役社長

 ▽堺鋼板工業=近藤薫神戸製鋼所理事、名古屋支社長

 【部長級】

 ▽理事、名古屋支社長(理事、アルミ・銅事業部門アルミ板自動車材営業部担当役員補佐)関州一

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