金属行人(12月22日付)

 中国が冬場の大気汚染対策として実施している工場の生産規制の動きが非鉄金属業界にも広がっている。一部の銅製錬所や銅スクラップからワイヤロッドを製造する工場などに大幅な生産制限を課すなど「青い空」を維持するために大胆な施策を実行しているもようだ▼中国の環境政策をめぐっては今月、同国環境保護部が非鉄金属スクラップなどを含む廃棄物に関して新たな輸入基準を公表した。環境に悪影響を及ぼしかねない廃棄物の輸入を抑えることなどが狙いだ。中国は7月に海外からの固形廃棄物の輸入を制限する方針を打ち出しており、11月には世界貿易機関(WTO)に一連の関連書類を提出していた。新基準は来年3月に発効する見込みで、来年は中国の銅スクラップ輸入量が減少するとの見方も広がっている▼これまで手選別などが必要な廃棄物は人件費の安い中国などでリサイクルされてきたが、そこに制限がかかると日本国内でどう処理するかが課題になってくる。最近、中国は環境保護を理由としたさまざまな政策を相次いで打ち出している。こうした政策転換が起きた場合に影響を最小限にとどめるため、新たな技術開発を進めておくなどして備えておく必要があるかもしれない。

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