対馬支局/カワウソ発見で波紋

 琉球大が8月、国内で38年ぶりとなる野生のカワウソを対馬で発見したと発表すると、「絶滅したニホンカワウソの生き残りでは」との期待が全国に広がった。環境省のその後の調査で、韓国などにいるユーラシアカワウソの雄で、海から流れ着いた可能性があることが判明。騒ぎは沈静化したが、対馬にカワウソが生息できる豊かな自然が残っていることが証明された。

 ニホンカワウソは河川の汚染や護岸工事などで激減し、1979年の高知県での目撃を最後に2012年、絶滅したとされていた。

 しかし、同大が対馬島内に設置した赤外線カメラに2月、カワウソが1匹映り込んでいたことから、環境省が現地で採取したふんなどのDNAを分析。7月の予備調査ではユーラシアカワウソの雄と雌が1匹ずついる可能性があるとしていたが、8月末からの本格調査の結果、雌の存在は確認できなかった。

 環境省はほかの個体がいないか調査を継続する方針だが、2月以降、カワウソの姿の確認には至っていない。対馬には、ほかにも貴重な動植物が生息している。今後も、島の自然をめぐる動きを注目し伝えていきたい。

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2月、赤外線カメラに映ったカワウソ。全国的に話題となった=対馬市内(琉球大動物生態学研究室提供)

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