【MLB】イチローの打撃技術は「12歳までに作られた」 子供たちに明かした驚異の逸話

「第22回イチロー杯争奪学童軟式野球」の閉会式に出席したイチロー【写真:中村彰洋】

イチローが子供たちに送った貴重な言葉

 23日に毎年恒例の「イチロー杯」閉会式に出席したイチロー外野手。今年で22回目を数えるイベントは例年通り大きな盛り上がりを見せ、子供たちにも満面の笑みが広がった。

 その中で今年はいつもとは違った風景も見られた。イチローが珍しく黒のスーツ姿で登場したこと。また、例年挨拶のみで終わることが多かった中で子供たちの質問を受け付けたことだ。特に質疑応答では世界的なスター選手から貴重な話が飛び出し、子供たちも真剣に耳を傾けた。

 イチローの凄さが垣間見えるエピソードが飛び出したのは3つ目の質問だった。

 ある少年から「イチロー選手のようなバットコントロールを身につけるにはどうすればいいですか?」との声が上がると、「そー! 欲しいのはそういうのです。バットコントロール……難しい話になるんだけど」とわが意を得たりという表情を浮かべたイチローは育成年代の重要性について話し始めた。

小学生時代は「誰よりも練習をしていた」

「みんなくらいの年齢ってすごく大事だと思うんです」、「僕が今、持っている技術というのは12歳までに磨き上げた、作られたものが大きかった」。

 ベテランはそう振り返った後に「僕、高校で全然練習しなかったんですよ。その時のチームメイトがいるんですけど、僕があまりにも練習しないから、彼らはプロ野球選手になりたかったんだけれども、僕が凄い結果を出してプロ野球選手の夢を諦めちゃったんです」とさらりと語った。

 小学校時代に「誰よりも練習をしていた」というイチローは早くから努力を重ねたことで、高校時にはすでに周囲を凌駕する土台を築き上げていたということなのだろう。事実、愛工大名電からドラフト4位でオリックス入りすると、7度の首位打者など数々のタイトルを手にして渡米し、メジャーでも球史に残る打者となった。

 最後に「身体で感じたことを大切にしてほしい」とアドバイスを送ったイチロー。この日貴重な経験を得た子供たちはその言葉を糧に順調に成長を遂げていけるのか。イチロー自身がその姿を一番楽しみにしているに違いない。

(「パ・リーグ インサイト」新川諒)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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