所蔵の「お宝」特別公開 27日まで県立生命の星・地球博物館

 県立生命の星・地球博物館(小田原市入生田)が所蔵する70万点以上の標本・画像から、一風変わったエピソードを持つえりすぐりを紹介する「7つの“逸品”」が、同館2階のミニ企画展示コーナーで開かれている。「皇室ゆかり」「(神奈川で)大発見」「世界にひとつだけ」などと題してそれぞれの物語を添えて、カニや魚の標本、サルの頭部の化石、細密画など収集資料の実物が並ぶ。

 光を当てると劣化するため、通常は収蔵庫で保管されており、期間限定で特別公開している。

 カニ類を標本にすると色彩が失われるため、カラー写真が貴重だった時代は標本採集とともに原色細密画を描く必要があった。「皇室ゆかり」として、昭和天皇が採集した「ヒメツバサコブシ」を、カニの研究で知られる酒井恒博士が描いたものが展示されている。

 「大発見」は、愛川町で約300万年前の地層から1991年に発掘されたサルの頭の化石。ニホンザルとは別系統で、さらに日本最古のものと分かり、「眼(がん)窩(か)後部が薄い、神奈川の猿」という意味の「カナガワピテクス・レプトポストオルビタリス」という学名が付けられた。

 「世界にひとつだけ」では、同館の学芸員がマレーシアで1匹だけ採集し、後にシタビラメの仲間「トビササウシノシタ属」の新種と認められた世界唯一の標本を展示。同館は「これらの標本を通じて、収集・調査・研究という博物館の仕事についても知ってもらえれば」と話している。

 27日まで(月曜休館)。同コーナーは観覧無料(常設展は一般520円ほか)。問い合わせは同館電話0465(21)1515。

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