潜在看護師活用し新事業 超高齢社会支援へ 来月にも 健康相談など 24時間態勢で対応

 民間が主体となり県、大学などの支援で、看護師資格を持ちながら働いていない「潜在看護師」を活用し、高齢者からの健康相談などに24時間態勢で対応する事業が県内でスタートする。健康寿命を延ばすのに役立つ新産業の創出を支援する経済産業省の補助事業に10月採択され、来月にもサービスを始める方針。県内の高齢化率が3割を超える中、関係者は「(病院などの)公的保険外の対応を補うことで、超高齢社会を支えたい」としている。

 事業では高齢者や家族などを会員として募り、会員側からの相談に看護師が電話で応じる。高齢者宅の血圧計などと看護師のスマートフォンをネットワークでつなぎ、離れた場所でも健康状態を確認できる仕組みを想定している。異常や要請があった場合は訪問して対応。看護師では対応困難な案件は、専門の看護師や医師に引き継ぐ。

 病院にかかる前の段階で、高齢者の健康不安に対し柔軟に対応できることが特長。夜間の高齢者施設からの相談に応じるといったサービスも可能。潜在看護師は交代制で対応し、当面8人が働く予定。在宅で勤務可能で、潜在看護師の就労を促す狙いもある。

 有識者や事業所、県でつくる「県の介護周辺・健康サービスを考える会」(委員長・立石憲彦県立大教授)が3年前から事業化を検討。企業や診療所、歯科医院など5事業所でつくる「平成の出島コンソーシアム」が運営し、県や同大などが支援する。

 今後、会費などを決めた上で会員募集を始める方針。立石委員長は「ビジネス化することで、高齢者を持続的に支えていく体制を整えたい」とする。

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