
「P-S」で見る「打って走れる」選手ランキング
打者のセイバーメトリクスの指標の一つにP-S(Power-Speed-number)というものがある。長打力と俊足を兼ね備えた選手を評価する指標だ。
数式は(本塁打×盗塁×2)÷(本塁打+盗塁)、この数値が20以上だとパワーとスピードを兼ね備えた打者だということになる。
この数値のNPBの歴代5傑は以下の通り。
1秋山幸二(西武)1990年 41.51(本塁打35盗塁51)
2秋山幸二(西武)1987年 40.35(本塁打43盗塁38)
3別当薫(毎日)1950年 37.97(本塁打43盗塁34)
4張本勲(東映)1963年 36.57(本塁打33盗塁41)
5岩本義行(松竹)1950年 36.33(本塁打39盗塁34)
このうち別当、岩本はトリプルスリーを記録している。秋山幸二は、NPB史上に残る打って走れる選手だったことがわかる。張本勲はNPB史上最多の3085安打を記録した安打製造機だが、同時に504本塁打319盗塁。全盛期には出塁した後も目が離せない選手だったのだ。
この数値は本塁打、あるいは盗塁が0の選手は「0.00」になる。端的な数字であり、総合的な選手の評価ではないが、「打って走って」というタイプの選手をピックアップする面で優れている。
今季セ・リーグのランキングは
今回は2017年のセ・リーグのP-S10傑を見てみよう。
1梶谷隆幸(De) 21.00 (本塁打21盗塁21)
2鈴木誠也(広) 19.81 (本塁打26盗塁16)
3糸井嘉男(神) 18.79 (本塁打17盗塁21)
4山田哲人(ヤ) 17.68 (本塁打24盗塁14)
5丸佳浩(広) 16.61 (本塁打23盗塁13)
6坂本勇人(巨) 14.48 (本塁打15盗塁14)
7田中広輔(広) 13.02 (本塁打8盗塁35)
8上本博紀(神) 11.52 (本塁打9盗塁16)
9桑原将志(De) 11.3 (本塁打13盗塁10)
10菊池涼介(広) 10.18 (本塁打14盗塁8)
DeNAの梶谷が1位。2014年の盗塁王だが、今季は初めて20本塁打をクリア。パワーアップして貢献度が高くなっている。
広島は「たな、きく、まる」トリオに加えて、鈴木誠也がランクイン。出塁数が多い上に、長打もあり、しかも走力も優秀。4人ともに20代。まさに日の出の勢いの広島を代表する打者たちだと言えるだろう。
20代の若い選手に交じって、36歳の阪神・糸井が3位に入っている。糸井はオリックス時代の昨年、53盗塁で盗塁王。35歳での盗塁王は史上最高齢だった。衰えを知らない脚力の持ち主であることはP-Sの数字でもわかる。
このランキングには中日の選手が入っていない。中日のP-S1位は、新人の京田陽太の6.81(本塁打4盗塁23)。打線に「打って走れる」選手がいないことがわかる。
今季のNPBはセ・パ両リーグともにP-Sで傑出した選手は少なかった。やや物足りないシーズンだったと言えよう。来季は、打って走って大活躍する選手がたくさん出てきてほしいものだ。
(Full-Count編集部)