三菱製鋼、インドネシアの特殊鋼電炉を子会社化 海外事業強化

 三菱製鋼(社長・佐藤基行氏)は27日、インドネシアの特殊鋼電炉メーカー「ジャティム・タマン・スチール」(以下JATIM)の株式を追加取得し、1月末に連結子会社化すると発表した。約32億円を投じて出資比率を35・4%から56・2%に高める。JATIMはアセアン鋼材事業の中核会社で、板ばね用素材(平鋼)と丸鋼を生産する。経営のスピードを速め、自動車、建機など主要顧客の現地調達化ニーズへの対応を強化する。生産・販売が本格化する2018年の通期営業黒字化を見込む。社長には関根博士三菱製鋼取締役(事業企画部・鋼材事業担当)が兼務で就任し、日本からの派遣者を管理部門に広げるとともに増員する。

 三菱製鋼はインドネシアで特殊鋼鋼材から最終製品のばねまで一貫生産する体制を整えている。JATIMがばね平鋼を三菱製鋼の板ばねの生産委託先「インド・スプリング」に供給するとともに、JATIMの丸鋼を三菱製鋼が主体となりインドネシア国内を中心に販売している。三菱製鋼は10年に普通鋼電炉だったJATIMに対する技術援助に着手し、14年の資本参加を経て関係を深化。JATIMは特殊鋼の製鋼工場、棒鋼圧延工場を順次立ち上げ、16年12月にばね平鋼の生産・販売を開始し、今年9月に丸鋼の販売を開始した。

 JATIMの資本金は約97億円。三菱製鋼は大株主のインドプリマ・インベスタマから約31億円の株式を譲り受ける。創業家のハディ家の持ち株は8・4%で変わらない。

 JATIMの月産能力は1万4千トン。現状はばね平鋼中心に5千トンを生産・販売するが、将来はばね平鋼で6千トン、丸鋼で8千トンの販売を目指す。業績面では19年の経常黒字化を目指す。

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